園芸映画劇場

いつだったかの夜、ふとテレビを付けると、海外ドラマがやっていた。
父親が孤児の青年を引き取って家に置くと言うのだが、母親と娘がそいつを気味悪がって反対する。どこかあやしい。どうして顔に殴られた跡があるのかしら―。
とかそんなような内容で、つまらない。
つまらないのになぜかリモコンに手が伸びない。それどころかそのモッさい海外ドラマにうならされている自分がいる。
「もっとカメラ引いて、右だよ右、お前そこに立つなー!」
花だ。背景に植えられている花が気になってしょうがないのだ。あのコンテナに植わっているのは何だ?アメリカのハンギングってこんなにデカイのか・・・、てかこの人「フルハウス」のベッキーじゃん?

結局30分くらい見てしまったのだが、最後にドラマのタイトルが出た時は唖然とした。
新・ビバリーヒルズ青春白書2
なんてこった!この俺様が「ビバリーヒルズ青春白書」なんぞにたとえ一時でもうつつを抜かしてしまうとはーっ しかも「新」のうえにさらに「2」が付いているようなゴリ押し続編ドラマに・・・
前だったら「ベッキ―も老けたなあ」程度でチャンネルを変えていただろうに、園芸を始めたおかげでどのドラマを観てもどの映画を観てもまず背景の植物に目が行くようになってしまった。

アクション映画でさえ、追い詰められた男の部屋に花瓶があったりすると、「あれはジニアかしらダリアかしら」とか思う。そんな花瓶は相手のドタマをぶち割るためだけにそこに存在しているのであって、それがジニアだろうとダリアだろうとストーリーには何の影響もない。重要なのはそいつが「どんな死に方をするか」だけだ。
しかし、これが「映画は総合芸術」と言われるゆえんかと思うのが、そんな「小道具」にすぎない花瓶でも、それなりにキレイに仕立ててあったりする。

画像が汚くて申し訳ないが、これはキャメロン・ディアス主演の「ホリデイ」という映画のワンシーン。

LAに住むディアスがクリスマスの休暇をどこで過ごすかググるシーンだが、手前に白のポインセチアが見える。ポインセチアと言ったら普通「赤」なので、花好きの人は「おや」と思うだろう。
面白いのが、プリンターもディアスのシャツも椅子もポインセチアと調和するように白でまとめているところ。これは多分、「ここはLAですよ」という説明のためにこうしているのだと思われる。LAでは冬でもポカポカしているいので、クリスマス・ムードというものが希薄だ。だから無理して「いかにもクリスマス」な、赤いポインセチアにするより白のポインセチアでムードより清潔感を強調することにしたのだろう。

ほんの二分足らずのシーンだが、アクセントに過ぎないポインセチアから色々なことが想像できて、面白い。園芸をやっていなかったら気付かなかったことだ。
この「ホリデイ」はアメリカに住むキャメロン・ディアスとイギリスに住むケイト・ウィンスレットがネットで知り合い、お互いの家を交換するというストーリーなので、英米の住宅が交互に映る。両国のインテリア、庭などを比べながら観ることもできる。映画自体もまあまあ面白い。
クリスマスにパートナーと一緒にどうぞ。

 

もう一作紹介したい。メリル・ストリープ主演の「恋するベーカリー」だ。この映画は園芸うんぬん以前に普通に映画として面白いのだが、何がすごいって庭がすごい。家庭菜園をしているらしいのだが、見ての通り、もはや家庭菜園の域を超えている。



注目すべきはトマトの支柱がオベリスク風に立てられている点だ。これは日本ではあまり見かけない。「雪つり」に似ているが、雪つりは木に雪がかぶらないようにするためのものなので、普通野菜には使わない。
日本では「支柱」と言ったらあの緑色の「棒」を連想してしまうが、どう見たってこっちのほうが有機的でいい。個人的にこのオベリスク風の支柱は衝撃的だった。
日本にも「棒支柱」のほかに輪のついた巻きつけるタイプの支柱があるが、どれもなぜか緑色のテカテカしたやつで、いかにも「ホームセンターで買ってきました」って感じがして個人的にはNGである。(使ってるけど)来年はぜひこのオベリスク風支柱でトマトを育ててみたい。

意識が変わると視点も変わる。見えなかったものが見えてくる。子供のころは「うわ、まだこれやってるよ」とゲンナリさせられた「ビバヒズ白書」でさえ「見どころあるじゃん」と思えてくる。一度観た映画でも、もう一度見直せばまた新たな「園芸的発見」があるに違いない。そう考えると、わくわくする!




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2011.10.28 | | 映画の感想

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Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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