「犬嫌い」を増やす飼い主

犬を飼っている人の大半がマナーを守っている中で、ほんの一握りの非常識な飼い主の身勝手な行動のしわ寄せを食うのは、よほどついてないことと言わねばならない。
そしてそういう連中の犠牲になるのは、往々にして僕らのようなペットを飼っていない人間なのだ。

犬のフンをそのままにしていく人がいる。いや、正しくはいた。
僕が自力で解決したので過去形である。
うちは袋路だから家の前や門扉にされる気遣いはない。
契約している駐車場にそれがいつもあったのである。
駐車場は舗装されていない砂利敷きで所々雑草も生えているから犬が寄ってくるのだろう。常識のある飼い主ならそこに車が停まっており、そこでフンをさせ放置するのはほとんど罠を仕掛けるのに等しいイヤガラセだと気付くはずだが、その飼い主にはそういう想像力が乏しいらしかった。
幸い、踏んだりその上に物を落としたりはしなかったが、それはこちらが注意していたからであり、奥さんがうっかり踏みそうになった僕の襟首を引っ張って軌道を変えさせたりしたからであった。しかし車のタイヤでなら何度か踏んでいたはずだ。そのくらい、ジャストミートな場所にそれはいつもあったのだ。
1年ほど前から発生して、ずっと放置してきたが、一月ほど前から、業を煮やした奥さんが見つけ次第スコップで「片付ける」ようになった。
何が悲しくて他人の犬の置き土産を自分たちがお片付けして差し上げねばならないのか。
現行犯で見つけて、背後から飼い主をドロップキックしてやりたい。心底そう思ったものだ。
この殺意に近い感情は同じ目に遭った人にしか分からないだろう。
しかし寝ずの番をして見張るのも現実的でない。(夜10時ごろになかったものが、朝になるとあったりするので、犯人は深夜に散歩をしているらしかった)
何か合理的かつ平和的な解決方法はないものか。
奥さんがネットで、「キッチンハイターを希釈した水を撒くとされなくなる」という情報を見て実践した。犬がそのニオイを嫌うそうである。
しかし翌日、犬はキッチンハイターのニオイなど嫌がらないということが判明した。
奥さんの努力をあざ笑うかのように新しいモノがうちの車の前に転がっていた。
2度、3度、その度に濃度を濃くして撒いたがその度に「見えない敵」が勝利を納めた。
とうとう奥さんが「監視カメラを付ける」などと言い出した。
諭した。
「こんな下らないことに金を使うことはない」
僕はワードを開き、特大文字でこう打った。
「迷惑です。犬のフン」
「ここで犬にフンさせるな」
それをA4用紙にプリントアウトし、クリアファイルに挟んで四隅を透明の幅広テープで密封・補強し、ハンマーとクギを持って外に出た。
「犯人が中国人だったら読めないじゃない。「フン」は漢字にしたら?」
素っ頓狂なことを言う、と思ったが、それには訳があった。
向かいのアパートに中国人のカップルがいて、彼らは以前ゴミの分別を守らず、家の前の通りを江蘇省かどこかの路地裏みたいに汚したことがある。(その時も自分たちが対処した)その二人が犬を引いて路を歩いている姿をたった一度だけ奥さんが見ていた。しかしそれは大型犬だった。このフンは、明らかに小型犬~柴犬程度のものだ。
「でもそのあと、犬を連れているの見た?」
「見てない」
「俺は日本人だと思う。なんでもかんでも中国人のせいにするのはよくない。それに中国人からしたら犬は食材だろ」
駐車場に行き、いつもフンがしてある場所にクリアファイルを置き、5寸釘で砂利の上から打ちつけた。地面に注意書きを貼り付けた格好だ。自分で言うのもなんだがかなりシュールであり、目立つ。ちょっとギョっとする。おまけに街灯がすぐ上にあるので深夜でもハッキリ見える。
これならどんな非常識な飼い主でも目に留めざるを得ない。
意味が分かったら、遠慮するだろう。意味が分かってもなお続ける度胸があるなら、その時こそ本当に寝ずの番をして、気持ちよくドロップキックをお見舞いできるというものだ。
「効果あるといいわね」
「うむ」
それは犯人へのメッセージであると同時に近所の人や、ここを散歩で通る全ての飼い主たちへのメッセージでもあった。
「困っているので協力してください」という。
僕が見る限り、この地域では正しく、ルールを守って犬の散歩している人が大半である。手ぶらで散歩している人などまず見ない。みなペットボトルやポーチを持って歩いている。
ならばそうでない人間は目立つ。
ルールを守っている人が大勢なのだから、僕にはたくさん理解してくれる味方がいるというわけだ。少なくともそう信じることは出来る。
手ぶらで犬を連れている飼い主が居心地悪くなるように仕向ければ、結局「空気」や住民の「視線」が、目に見えない監視カメラになる。
効果はテキメンだった。
2週間ほど経つがフンは消えた。その間2度、出張で丸1日~2日駐車場を空にしていたが、帰ってきても不快なものは残されていなかった。
日本語の分かる良心的な犯人でよかった。やめてくれて本当に助かった。

世の中にはもっと悪質なケースもあるようで、人によっては警察沙汰にまで発展したりしている。車で犯人の犬を轢いてやったと自慢げに披瀝している人までいた。死んでも分かりたくはないが、僕も奥さんもその気持ちが分かりかける所まで行っていた。あんなことを連日やられたら、ノイローゼになっても不思議はない。(もっとも、犬に罪はないのだからその行動は非難されるべきだ)
そう、犬に罪はない。問題は人間である。
悲しいことだが、ほんの一部の馬鹿な飼い主の無神経な行為が、犬ギライの人間を増やしている。そういう現実が確かにある、ということを今回の災難を通じて知った。

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2015.10.23 | | 時事問題

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