天然パーマと雨の日の話

今はそうでもないが10代の頃は雨が大嫌いだった。
小中高と家に犬がいて、毎朝の散歩が兄と僕に義務付けられていた。雨の日でも遅刻しそうでも農薬散布の直後でもカンケーない。中型犬だからよく食べよく出す。こっそり学校に行こうとすると待ち構えていて吠える。「待てこら、どこへ行く気だ」と言わんばかりに。
傘を差しながらの散歩は子供の腕ではしんどかった。右手に持っていたリールをダルくなって傘を持つ左手と交換しようとした瞬間に、何度も縄を落として逃げられた。縄を落とした瞬間、犬が状況を飲み込もうとして一瞬止まる。そしてこちらが縄に手を伸ばすか伸ばさないかという絶妙のタイミングで全速力で走り去るのだ。何度傘を捨てて畦道を追い掛け回したことか。
諦めて家に帰ると泥沼の中でスウィングダンスを楽しんできたような犬が先に戻っていたりした。
中学生になると自分の外見を気にするようになる。
俺はイケてるのかイケてないのか?あの娘は自分の視線に気付いているのかいないのか。気付いていてあんな汚い物を僕に投げつけてきたのだろうか・・・。
僕は天然パーマである。
だった、と過去形にしたいがまだ残っているので完全には過去形に出来ない。
小学生の頃は「ホームアローン」のマコーレ・カルキンみたいに艶やかなさらさらヘアだったのが、ちょうど中学入学と同時くらいに巻き出したのである。
毛根が覚醒したのだ。
しかし大人になって母に幼児期の頃の写真を見せられて知った。裸でポーズをとる僕の頭髪はくるくるなのである!
つまり成長するに従って沈静化していった「天パ細胞」がよりによって一番自分の外見にデリケートな時期に「復活」したらしい。
いずれにせよ、一番繊細で敏感な時期を1番ブザマな頭髪で過ごさねばならなかった僕の過去に変わりはない。
おまけに当時はビジュアル系が華やなりし頃で、誰もがストレートヘアに憧れヘアサロンに駆け込んだ。「直毛にあらずば人にあらず」という感じだった。
朝起きて雨粒の音を聞くと憂鬱な気分になる、そんな毎日々が続いた。洗面所で鏡を覗くたびに「メドゥーサ・・・」という言葉が脳裏に浮かんだ。
ストレートヘアのクラスメイトが「ネグセが直らなくてよー」なんて言いながら水で濡らした手で後ろ髪を撫でつけるのを見ては「それがなんだ!馬鹿かお前は!」と思ったものだ。こっちは言うことを聞かない巻き毛の束をハサミで切って収拾が付かなくなったことだってあるのだ。
そんな自分を救ってくれたのは父のレコードコレクションで見た昔のロックバンドたちだった。
マーク・ボラン、グランド・ファンク、ディープ・パープル、ビージーズ、ジミ・ヘンドリクス、グレイトフル・デッド・・・
巻いてる巻いてる。もじゃもじゃのグルグル巻き。巻いてないやつのほうが珍しいくらい巻いている。
パーマ天国だ。この時代だったら僕なんか「おいそこの直毛野郎!」と呼ばれたんじゃないか。
それで(というわけでもないが)HIDEにもGLAYにもラルクにもラクリマクリスティにも用はなくなった。アルバイト出来る年になって僕はすぐにレコードプレイヤーを買った。僕の「ヒーロー」は巻き毛のギタリストやロックスターたちになっていった。
その後、女と暮らして自分の巻き毛を「矯正」する方法を教えてもらった。
体を二つに折り、上半身を逆さまにしてクシ付きのドライヤーをかけるのだ。パワーを「強」にして上下左右がむしゃらにクシを走らせ顔を上げるとあら不思議、定規みたいに真っ直ぐな前髪の自分がいる。
憧れのストレートヘアーだ。
もっとも、半日で効果の切れる魔法みたいなものだったが。
皮肉なことに僕がその方法を知った頃にはビジュアル系は廃れ始めていて、「ありのままの自分」でもそれほど劣等感を感じずに済むようになっていた。(年齢的なものもあったと思うが)

今は当時より「巻き」は収まっている。というか髪を短くしたのでよく分からない。
それでもこんな雨の日はやっぱり頭が気になる。家ではキマっていても、傘を差して歩いているうちに想像も付かないような頭髪になっていることがあるのだ。駅のトイレで思わず「お前誰?」って言いたくなることなんてしょっちゅうだ。

今日は郵便物のオンパレードで大雨の中二度も郵便局に行った。
庭に出てふと畑に目を落とすと、巻き毛も直毛になるような衝撃が身内に走った。

カブが・・・・。


絶対流れていると思っていたカブが・・・流されるどころか発芽している!!
日曜に蒔いたのにもう発芽ー??
ありえねー。
いやでも、すごいな。。この台風の中でも根を張って芽を出したんだな。偉いな。。
だよね、こんな雨なんかに負けてられないよな。

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2015.09.09 | | 未分類(日常、随筆)

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