大型ホームセンターの欠点~ジョイフル本田・新田店に行って~

群馬県太田市にある、ジョイフル本田・新田店に行った。ホームセンターが乱立する同市の中で、特に園芸関係に力を入れているという話を聞いたので、どんなものかと見に行ってみたのだ。
さいたま市から一般道で約3時間、県道2号を伊勢崎方面へ走っていると左側に超広大な駐車場が現れた。ミニカーのように見える車の列の先に、ジョイフルの特徴であるダークグレーの店舗がそびえる。まさに現代の城。消費の城郭。


↑通りを挟んで「ガーデンセンター」なる建物があり、そこがこのジョイフル本田新田店の園芸コーナーである。いや、その規模から言って、園芸コーナーというよりもはや独立した店舗に近い。連休の中日ということもあって、多くの買い物客で賑わっていた。

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感想

確かに広大な売り場面積を誇るだけあって品揃えは良い。宿根草だけを集めたコーナーがあったり、カラーバリエーションのある鉢を100円で売っていたり、それなりに目を見張る物はある。全体的に、苗の質も悪くはない。屋内の売り場ではココマットやトレリス、アンティーク風の表札など、エクステリア商品もこれでもかというくらいに揃えられている。

が、どういうわけか全っ然ワクワクしない。何を見ても「だから何?」って感じだ。今回は激安苗を求めて来たわけではないので、少しくらい値段が高くたって気にならない。そんなのは最初から期待していない。だからワクワクしないのは値段のせいではない。初めて見る苗もあったし、「こんなの売ってるんだ~」的なちょっとした発見もあった。にもかかわらず、「だから何?」から一歩も抜け出せない。なぜだろう。

いくつか気付いた点を挙げると、まず、陳列の仕方が下手である。つまり、ディスプレイが悪い。園芸店では普通、従業員が寄せ植えをして、それを「見本」として売り場に置く。そうすることで、客は何を買い、どういう風に植えたらいいかという「イメージ」を持つことが出来、また、「こんな風にしたいな、出来たらいいな」という憧れから購入したりする。洋服売り場における「マネキン」のようなものだ。
しかしジョイフルには寄せ植えが少なかった。あっても、センニチコウ(開花期・7月~10月)を使っていたりして、その役目を果していない気がした。これでは3月の洋服売り場で、マネキンがダウンコートを着ているようなものだ。別に葉牡丹を使って正月風にしろと言っているわけではないが、新鮮味に欠けた「マネキン」では意味がない。花苗も料理や服と同じで、まずは訪れた客の<視覚>に訴えることが大事だろう。

それから、これがこの店の一番悪いところだが、客をどのように誘導するかという「ルート」がまるで定まっていない。通路が広いとか狭いとか、トイレの場所が分かりにくいとかそういう話ではなく、これを見せて、その上でこれを見せる、といったような、暗に仕組まれた陳列の順序である。
チェーン店なんてみんなそんな物だろうと思うかも知れないが、そうではない。それどころか全く逆である。スーパーでもコンビニでも、「客の動き」を正確に把握し、うまく商品へ誘導出来る店が生き残るのは産業界の常識である。スーパーで野菜売り場が真っ先に来るのも、コンビニで雑誌類やドリンク類、弁当等が壁際に陳列されているのにも、全て理由がある。ホームセンターも基本的には同じで、その客層に合った「動き」を意識した売り場になっているはずだ。
しかしジョイフルの、少なくとも「ガーデンセンター」は、僕から言わせるとアナーキーである。一応、種コーナー、肥料コーナー、エクステリア・雑貨コーナーといった具合に分けられてはいるが、あくまでただ単にカテゴリー別に売り場を分断しただけで、それぞれに「関連性」というか「つながり」がまるでない。商品の置き方も、ごっそり持ってきてそこに降ろしただけ、という感じがする。だから誰もが無秩序に歩き回って、ひどく雑然とした印象を受ける。巨大なバーゲンセール会場みたいなのだ。当たり前だが、そんな場所に長くいるとストレスを感じる。

なまじ売り場面積が広いからこういうことになるのだろう。ジョイフル本田は千葉ニュータウン店をはじめ、その広大な売り場面積と品揃えが特徴だが、やたらデカイだけで内容が薄い店舗が多い。その点、「コメリ」などは、店の敷地面積自体はジョイフルの百分の一ほどしかないが、なぜか欲しい物がちゃんと手に入る。そして何時間いても飽きない。商品が「僕を買ってよ」と訴えてくるような、変な魅力がある。

広大な面積でも人を飽きさせず、ストレスも感じさせない(疲れを感じさせない)店のいいお手本がIKEAである。IKEAの客の誘導の仕方は非常にシンプルだ。まず、ほぼ強制的に2階の展示場から歩かせる。そこはIKEA製品を使用したモデルルームが延々と続く売り場である。もちろん、ただ見るだけでなく、実際にその空間に足を踏み入れ、触り、距離感や雰囲気などを確かめることが出来る。値札が付いているので、いいなと思ったものはメモしておく。
そして一階に下りるとそこは「マーケットプレイス」といって上階で使用されていた製品の売り場になっている。展示階では抑えられていた大きな値札や「セール」の文字がわっと目に飛び込んでくるので、お客は二階にいる間にため込んだ消費欲をそこで一挙に爆発させる。というわけだ。非常にうまいやり方である。そしてフィニッシュには、レジを通った客だけが味わえる、超低価格の軽食コーナーがまるで「ご褒美」のように待っている。


ショッピングとはひとつの「物語」である。
IKEAを例にすれば、まず展示場で製品との「出会い」があり、夫婦であーだこーだ話し合う「考察」(時々ケンカに発展)があり、マーケットプレイスで目的の製品を購入し、欲求を「成就」させる。そして家に帰ってそれを「使用」する。IKEAでは、僕たちはベルコンベヤー式にそのようなストーリーの上を歩かされる。これが気持ちいいと、人は「もう一回行こう」と思う。これがリピーターの発生要因だと僕は思う。ストーリーの気持ちよさ。
それはホームセンターでも園芸店でも同じことだ。であるならば、ジョイフルに限らず、日本のホームセンターはもっと商品の見せ方(=魅せ方)、客の誘導の仕方に工夫をするべきだ。確かに巨大な外観だけ見れば「何があるんだろう」とワクワクはする。しかしそれが売り場を回っている内に減退していくのが、日本のホームセンターの欠点だ。


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2011.10.11 | | 園芸コラム

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Author:yuhei
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