園芸は人を変える

今日は仕事で市内の個人宅にお邪魔した。2時間ほど仕事のお話をして、最後に、世間話ついでに家庭菜園の話をしたら、「うち、小玉スイカが出来たんですよ!」とご主人が目をキラキラさせて言った。
「ええっ!?」
だってそこはマンションの5階。
「テレビでプランターでも作れると聞いてやってみたんです」と赤ちゃんを抱いたまま奥さんがスマホをタップして写真を見せてくれた。そこには大きさを比較するために置かれたタバコの箱と、そのタバコの箱より少し大きい小玉スイカが写っていた。
「ホントだ・・・」
スイカといったら地面に転がして作るイメージだが、小玉スイカは小さいのでプランターでも作れるらしい。
「味は?」
「美味しかったですよ、甘くて、なあ?」
「うん」
「来年、うちもやってみます」
「ミニトマトも獲れたんですよ」
二枚目の画像はザルに盛られた真っ赤なミニトマト。縦長で尻すぼみの変わった形のミニトマトだ。この形はホームセンターで見たことあるな。。その艶、色、いかにも美味しそうだ。
「すっごい甘いの、アイコとかいうヤツで」
「ああ、これがアイコですか」うちはいつも桃太郎である。
「見ます?」
奥さんがベランダを見せてくれた。発砲スチロールに植えられたミニトマトの苗が見えた。いくつか小さい実が成っているが、葉がしなびている。
「あんまり水をやらずに乾かし気味で育てるのがコツなんですよ、サディスティックにね」
ご主人が言うのが聞こえたが、「うちはそれで失敗しかけてます」とは言えなかった。(・・・サド過ぎて)
マンションの5階なら虫も来なくていいだろうと思ったがこれが大間違いで
「来ます来ます!」二人口を揃えて言う。ご冗談をといった具合。
「ニンニクやったときなんかびっしり・・・アブラムシ。クスリで消毒しましたもん」

園芸を始めてから、僕は前よりずっと人と話すようになった。人と接する機会の多い仕事を始めた、というのもあるが、ビジネス上の付き合いだけでなく、近所や地域の人たちと話をするようになったのだ。
園芸に目覚める前だったら挨拶程度、いや、挨拶すらしなかったに違いない隣家のおばあちゃんや、近所の奥様たちと、今は普通に世間話をしたりする。
もちろん、きっかけは「花」だ。
うちの通路を見て、水をやっている僕に挨拶をしてくれたり、声をかけたりしてくれたのが始まりで、道で会えば軽く挨拶をするようになった人たち。その人たちが別の友達を連れて来てくれたり、中にはこのブログを見て来ました、というツワモノもいて、その方(たち)とは街でよく会う。
こんなこと、数年前の僕の生活からしたら考えられなかったことだ。
大体キャラじゃない。
僕はそういうキャラじゃないのだ。
基本的に人間が嫌いで、集団が嫌いで、外にいるより部屋でタバコ吸いながら本を読んだり楽器を鳴らしたり古い映画を観たりするのが好きな根暗な青年だった。
ずっとアパート暮らしで、朝、ゴミ出しのときにバッタリ近所住民と顔を合わせるのも嫌悪していた。目が合うと、「なぜ俺を見るんだ」と訳もなく腹が立った。
まあ、20代前半なんて皆そんなものかもしれないが、それが20代後半のときに庭付きの平屋に引っ越してから変わった。
花壇を作り、花を植えた。奥さんはDIYで棚やテーブルを作り始めた。やるたびに面白さが倍増し、やるたびに上手くなっていく。
図書館で「ガーデニングレッスン」(全10巻)という古いビデオを借りて勉強した。そのビデオの講師役を務めていたのがその昔「趣味の園芸」に出ていた(らしい)「玉崎弘志」という男で、僕は彼を師と仰いだ。花の植え方、3大栄養素、肥料、培養土の作り方、農薬の種類・・・園芸の基礎知識は全て彼から学んだ。

・・・それから数年経ち、今では顧客の仕事場や自宅にお邪魔してそこに花壇があったり鉢花があったりすると、何か言わずにはいられない。
「素敵な寄せ植えですね」
「このアプローチがいいですね」
社交辞令でもお世辞でもなく、本当にいいと思うのだ。その人が園芸をやっているというだけでひとりで勝手に喜んでいるのである。
つまりもう完全な別人であり、完全な変人だ。

「アイコはちょっと皮が厚かったかな。でもホント、フルーツみたいなの」
「来年はうちもアイコにしようかな。アイコと小玉スイカ」
エアコンの効いた部屋から外に出ると街全体がオーブントースターに思えた。
スイカが食べたくなった。

さてと・・・明日からまた仕事。(・・・って今日から仕事したけど!)
これは事務所の観葉植物。

また休みにしてどっか行っちゃおうかな。

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2015.07.26 | | 園芸コラム

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yuhei

Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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