因島の観光地に思う

「しまなみ街道」を降りるとすぐ、因島島内の目ぼしい観光地へ誘う案内板に出くわした。
今回は「秀策記念館」「水軍城」「因島フラワーセンター」へ行く。(上の「万田醗酵」も気になるが・・・)

秀策記念館の「秀策」とは、本因坊秀策のこと。江戸時代の囲碁の棋士で、棋聖(きせい=囲碁の神様)と呼ばれた。
でも僕は囲碁は打たない。ルールも知らない。

僕のように囲碁を打たないクセに「秀策」の名を知り、かつ、この記念館の存在を知っている人は、ほぼ100%このマンガのファンである。

右の烏帽子を被った長髪のキャラが実は平安時代に「天才棋士」と呼ばれた棋士の幽霊で、現代の主人公(中央)にとりつく前は江戸時代、秀策という少年にとりついて囲碁を打っていた・・・という設定。
この秀策記念館も本編に登場する。
その登場の経緯が切なく、涙を誘うものであるため、読者は否応なしに「秀策」という名とこの記念館の存在を胸に刻んでしまう。
しかし当の記念館にはこのマンガと記念館を関係付けるような展示物はほとんどない。談話コーナーに同マンガのコミックが置いてあるくらい。
別にそんなものは(少ししか)期待してないからいい。逆に秀策の人生や人柄をすっ飛ばして原画やセル画やサインの展示ばかりだったらそれこそ引く。。
ただ、それでもやっぱり少しはマンガとの接点も垣間見えた方がいいとは思った。ブレずに秀策の人となりや偉大さのみに焦点を当てた展示は評価するが、「秀策」の名を一般にまで広めたのは間違いなくこのマンガであり、このマンガの読者だからだ。
また、マンガに登場した資料館はかなり年季の入った建物だった記憶があるが、建て替えてあった。
来場者数が増えて予算が取れるようになったからだろう。
来場者数が増えた理由は明らかだ。
ならば囲碁のルールは知らないが「一度来てみたかった」「生で見たかった」というコアなファンへのサービスも多少は必要だろう。
入り口はどうであれ、皆、「秀策マジハンパねえ」ということくらいは知っているのだから。

お次は水軍城。平安時代から戦国時代にかけて活躍した「村上水軍」は瀬戸内海、特に因島周辺を拠点にした軍団だった。

そんな「村上水軍」のお膝元でありながら分かりやすいモニュメントがないじゃないか!という訳で昭和58年に地元の有志が築城したのがこのお城。城自体に歴史的な価値、意味合いはない。
ということを長い階段を上りきった入り口の案内板で知った。。。別にそれはそれでいい。日本の城なんて今となっちゃ復元された「コンクリート城」が大半である。肝心なのは中身だ。
『村上水軍の娘』とかいう小説が売れたようで、平日の昼間だというのにけっこう人が来る。「秀策記念館」と違って、ここは小説の作者のサインやら写真やらを大々的に前に出していた。同じ島内でも対照的だ。もしかして小説のほうがマンガより「上」とか思ってないだろうな。
ところで、個人的に「村上水軍」という言葉を聞いただけで胡散臭さといかがわしさを感じ、「信長が最も恐れた」とか聞くと鼻で笑ってしまうところが自分にはある。忍者とか仙人とかと同じただの伝説だと見くびっているところがある。
だからここに来た。
笑うのはよく知らないからである。知っていれば胡散臭いとも思わないし、見下しもしない。「村上水軍」なるものが、しっかり日本史を形成するひとつのピースとして、真面目に語るに値するものかどうか判断するために来た。
しかし結論から言って、坂を上ってきた自分と、下って帰る自分は、何の変化もなかった。「村上水軍」がどういう集団なのか、第三者に説明できないまま帰らなければならないというのは空しい。もっとちゃんとやれ。

最後は因島フラワーパーク。

フラワーパークといっても、そんなに花はない。坂の上に温室があるというのでそれを目指して歩くのだが、あまりに閑散としていて、花もろくに咲いてないのでどんどん不安になる。。。入場無料も頷ける・・・。

坂を上がり切ると、デージー?マーガレット?の海・・・。これには驚いた。

しかしこの花、実はデージーでもマーガレットでもなかった。

除虫菊(じょちゅうぎく)という菊なのだ。
除虫菊とは以下の通り。。↓

「除虫菊の栽培の基点となったのは、明治28年の渦巻き型蚊取り線香の考案でした。」
とあるように、そう、この菊、蚊取り線香の原料だったのである。
今ではより効率の良い他の原材料が見つかったのか、それとも外国産の除虫菊に代えたのか、とにかく因島での除虫菊の生産はすっかり廃れてしまったが、こうして訪れる人に体験してもらうことで除虫菊の魅力をアピールする努力を続けている。
自分だけの蚊取り線香、超作りたかったけどこの日は閉園間近で人がいなかった。

誰かが体験した形跡を見て想像を膨らますしかない・・・。

 

手作り体験は5月いっぱいは毎週日・祝開催しているそうですので、お近くの方は是非。

僕の代わり自分だけの蚊取り線香作ってきて下さい!(参加費500円)
こんな花があったこと、そして蚊取り線香の原料が菊だったこと、そういえば蚊取り線香の箱にニワトリと一緒に菊の絵柄が描かれていたことなどを思い出し、ちょっと胸が熱くなった。来てよかったと思った。

この体験コーナーの隣に、温室がある。

しかし時が止まっている。

枯らさないよう最低限の管理はなされているが、寂しい。とにかく寂しい。
外の花壇もそうだが、ガーデナーとしてこんなフラワーパークは放っておけない!という気分になる。
植物というのは多分、人間に見られると喜ぶ。野生の植物は知らないが、人間の鑑賞用に植えられた植物というのは、人間の存在を感じることが出来ると思う。足音、笑い声、葉っぱを触られた時の感触、振動、地温、空気・・・。
うちの庭木がまさにそうだ。空き家時代の庭の写真と今の写真を比べると、同じ季節でも自分たちが来てからの方が明らかに茂っている。単に成長しただけ、では説明しきれない「変化」がそこにはある。
人の気配を感じると、頑張ろうと思うのかもしれない。
この温室に人は来ない。来ても見るべきものも大してない。
でもブーゲンビリアは花を咲かせ、ソテツは腕を広げ、ハイビスカスが茎を伸ばしている。本当ならばもっとイキイキとするはずの花たち。
尾道市の観光課の意識が低いのか人がいないのか知らないが、こんな生殺しめいた中途半端な状態にしておくのはガーデナーとしてけしからんと言いたい。
俺に500日くれ、来場者数を倍にしてやる。入場料を払ってでも来たいと思わせる公園にしてやる。

体験コーナーにこんな色紙が飾ってあった。

正しいが違う。
看る人と見る人、両方が必要なのである。

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2015.05.18 | | 行ってみた

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Author:yuhei
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