日和見「お父さん」

フリーキャスターの池上彰が朝日新聞紙上での連載を打ち切るそうだ。コラムで彼は朝日の従軍慰安婦捏造問題について触れ、朝日に対し国民への謝罪を求めた。それを朝日の編集者が「載せられない」と難色を示し、ならばと池上氏は連載の打ち切りを突きつけた。
スタンディングオベーションしたいところだが僕は彼を信用していない。
今回の件もぶっちゃけ日和見主義の風見鶏だと思っている。
僕の世代にとって彼はネグセ頭の冴えない「お父さん」であった。
「週間こどもニュース」は小学生の頃から大人になっても観ていた。
「こどもニュース」が始まったとき、ちょうどテレ朝の日曜朝8時半のアニメ枠が男の子向けのアニメから女の子向けのアニメに変わったので、男子は次のフジテレビ9時からの『平成版・ゲゲゲの鬼太郎』まで、空白の30分が生まれた。そこに食い込んできたのが「こどもニュース」であった。
自分と同学年くらいの子供が時事問題に幼稚な疑問を呈したり、白々しく頷いて見せたりする。ときには台本にない本音をうっかり口にしてお父さんが火消しに躍起になったりもする。その予定調和のようなそうでないような微妙なハラハラ感がクセになってからかい半分に毎週見ていた。「ひとりでできるもん」のまいちゃんとは違う、ハラハラ感。
テレビを疑う知恵が付いた十代後半からは『ニュースまるごと一週間』を見るために、そしてなによりNHKの偏向報道をウォッチング(監視)するために観ていた。
池上氏は相変わらず額に汗して挙動不審に立ち降るまい、時には無邪気な子供の「正論」を大人の論理で封殺し、時には上滑りしたダジャレを披露してチャンネルを変えられたりしていた。異議を唱えたい回も何度かあったが、池上氏に免じて許してやるかと思えた。彼は僕にとってはいつまでもトホホな「お父さん」なのである。
それがNHKを辞めてフリーになると、大人相手にニュース解説などをするようになった。最初は温かい目で見守っていたが、だんだんむかっ腹が立つようになった。
分かりやすく、易しく解説する、主観、イデオロギーは挟まない、何が正しいかではなく、どうしてこうなったかを解説する・・・。
その無色透明なスタイルが右も左も知らない人たちには「ちょうどいい」のは分かるが、僕にとっては何も言っていないのと同じだ。
「こういう見方も出来る」「こういう説もある」「一部ではそういう風にも言われています」語尾にこういう逃げ道を作る人間を僕は信用しない。
池上氏はまさにこのタイプだ。
昔からそうだったと言われればそうだが、子供相手だからはぐらかしているのかと思ったら、彼は元来そういう人間で、「是々非々」「無私」「アンチイデオロギー」がほとんど信念なのだとインタビューで語っていた。「中庸」だの「是々非々」だの言葉は格好イイが、要はただの「自分の立場を明らかにしない傍観者」だ。

彼ほどキャスター暦が長い人なら朝日の誤報が原因で日韓関係が悪化しているのは知っていたはずだが、番組中で朝日新聞を名指しで批判したことがあるのだろうか。多分ないだろう。そもそもそういう心配のない人物だから全国ネットで看板番組を作ってもらえるのだ。
知っているからこそ激しく批判しないではいられない人たちを、彼はイデオロギッシュだと嫌悪するだろう。しかし知っているのにテレビ局の顔色を伺って視聴者に大事なことを伝えずに済ませている人間のほうがずっと性質が悪い。

朝日新聞は即刻廃刊すべき新聞であることは疑いの余地がない。廃刊したら国益が増すことはあっても損なうことはない。そんなことはもう皆が知っている。知ってしまった。
以前、奥さんの同僚だった60代の女性が、娘の要望で朝日から産経に新聞を変えた。数十年同じ新聞で来たその女性は他社の新聞というものを真面目に読んだことがなかった。
1ヶ月産経を取った彼女はこういった。
「新聞じゃないみたい」
産経には「保守主義」という「思想」なり「主張」がある。池上的中立こそ「善」と信じている人にはアクが強い新聞に映るだろう。だからそういう気持ちは分かる。
彼女は新聞を元の朝日新聞に戻した。
しかし今頃娘に皮肉を言われているかもしれない。
「朝日は『新聞』って言えるんだ?」

いまさら朝日に「怒ったふり」をする「お父さん」の打算に、「芸能人」としてのしたたかさ、狡猾さを見た。
まあ・・・究極的には、朝日廃刊へのカウントダウンを早めてくれるなら、どんな動機で誰が掌返して朝日を批判しようと、僕としてはウェルカムなんだけどね。

と、この記事を書き終えたところで「朝日一転、池上氏コラム掲載へ」のニュースが。池上のコラム掲載より先に国民への謝罪が先だろうに。
やっぱ、「(マトモな)新聞じゃないみたい」

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2014.09.03 | | 時事問題

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