HATE(ヘイト)の奥にあるもの

「ヘイト・スピーチ」という言葉が一般の人の耳にも届くようになったのはごく最近のことだ。直訳すると「憎悪演説」だが、デモ活動と称して、街頭などで過激な言葉を使って異議を申し立てることをいう。
「在日特権を許さない市民の会」、いわゆる「在特会」と呼ばれるグループによるデモ行進や動画サイト等での活動報告によって広まりつつある。
この「在特会」の最終目標は「入管特例法」を廃止させることである。
「入管特例法」とは平成3年に施行された、特別永住者(いわゆる在日の人たち)になるための条件や強制退去の要件、再入国許可についてなどを細かく規定した法律である。
僕は在日の人に何の恨みもアレルギーもないが、この「入管特例法」を読むと、在日朝鮮人・韓国人がその他の外国人よりも「優遇」されていると言わざるを得ない。
たとえば、一般の外国人は入国の際に顔写真撮影と両手人差し指の指紋の採取が義務であるのに対し、特別永住者はその義務を免除されることになっている。
「退去強制」(強制国外退去)についても、特別永住者以外の外国人は入管法第24条の規定が適用されるが、彼らにはその適用がない。入管法24条には「これをしたら法務大臣は君たちを追放出来ちゃうから、気をつけてね」というルールが記されているのだが、結構ハードな内容だ。
売春、その斡旋、勧誘した者もアウト、有罪でなくても従事していただけでアウト、覚せい剤関係は刑の重さを問わずアウト、オーバーステイもアウト、他人の在留資格の書類の偽造、アウト。器物破損、アウト。政党のポスター貼り、アウト。もちろん暴行、窃盗、殺人その他刑法の定める犯罪に少しでも絡んだら「退去強制」させられる可能性がある。
我々日本人からしたら当然と言えば当然の内容だが、外国人であっても「特別永住者」だけは上記の「入管法24条」は適用されない。逮捕され有罪になっても「退去強制」(国外退去)されることはない。
「在特会」はこれを「特権」と言っている。僕もそう思う。だって「特権」じゃん。
だからこの「特権」の拠り所になっている「入管特例法」を廃止させ、在日の人たちもその他の外国人と同じ扱いにしろと彼らは叫んでいるわけだが、では、なぜ在日の人たちを普通の外国人と同等にしなければならないのか?なぜそこにそんなに拘るのか?
いまや特別永住者の数は全国で38万人(平成23年現在)に過ぎず、日本に住む外国人全体の19%にとどまっている。しかもその約半数の45%が大阪・兵庫・京都の3府県に集中しているので、その他の地方の人にとっては半ばどうでもいい問題である。
僕なんか「ザイニチ」という言葉すら知らずに育った。そういう人々がいると知ったのは高校を出てからで、知った時はショックだった。「住んでる場所と苗字で分かる」なんて言われた日には、別の世界の話のように感じたものだ。そんな世界があるのかと。おまけにあの芸能人もあの歌手もこの女優もあの政治家もあの野球選手もみんな朝鮮人だと知った時もショックだった。
学校で教えろよな!
と大真面目で思ったものだが、京都出身の奥さんに言わせれば
「そんなん常識やん」
房総半島の見渡す限り田んぼしかないような片田舎で育った僕にとっては常識ではなかった。
免疫がない分ショックが大きく、その煮え切らない思いを抱えたまま、今度は「あの犯罪者もこの教祖もあの連続殺人犯もこの間のあの子も在日らしいよ」なんて情報にたどり着くとどうなるか。
多くの日本人が凶悪犯罪の犠牲になっている。
犯人は同じ日本人だと思っていた。
日本もおかしくなってきたなと心を痛めたり、先行きを不安がったりした。
でも違う。あの事件の犯人は在日朝鮮人だ。凄惨な事件は全部チョンだ。同胞が外国人の手によって傷つけられ、命を奪われている!
しかし報道機関は通名報道するから真実は分からずじまい。テレビ局も在日の味方だったのか。
ずー・・・・っと、騙されてたんだ・・・・・。俺。

そうやって憎しみ<ヘイト>が醸成される。

しかしこの「ヘイト」は在日の人たちに対しての物なのか?
多分違う。少なくとも僕は。
自分を騙し続けたすべての偽善への憎悪。
確かに在日朝鮮人・韓国人はその他の外国人と比べて優遇されている。それは事実だ。戦後のどさくさに紛れて駅前の一等地を買占め、どの町でも駅前にはパチンコ屋がそびえるようにしたのも在日朝鮮人かも知れない。北朝鮮のスパイになって日本人を拉致・誘拐する手助けをしていた者もいるだろう。挙げればどれだけでも腹の立つ話は出てくる。
でもそういった話を見聞きして僕が抱く感情は「在日への憎悪」ではない。憎悪を抱くには「在日」はやっぱり僕には遠い存在なのだ。
むしろそういった状況を隠し、放置し続けたこの国の機構・体制・空気への憎悪だ。今なお涼しい顔で世論操作に余念のない報道機関への憎悪だ。
「在特会」に賛同する若者の中にも、案外そんなルートを辿っている人も少なくないと思う。
日本における「ヘイトスピーチ」はレイシズムなどという白人的な下劣な衝動ではなく、もっと別の、高次な問題の発露としてあるような気がしてならない。

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2014.08.28 | | 時事問題

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