女たちへ

いま、現政権が最も力を入れているといってもいいのが「女性の活用」である。
安倍首相は成長戦略の柱として「女性の積極的な起用」を掲げ、「(全上場企業において)指導的な地位を占める女性の割合を2020年代までに30%」とする目標を打ち立てた。また史上初めて「女性活力・子育て支援担当大臣」(森まさこ)を任命し、女性の社会進出、職場復帰を促す政策を立案している。
日本では結婚・出産を機に離職する女性が6割に上るといわれる。働く女性10人のうち6人が出産を機に辞めてしまう。しかし一方で女性の就業希望者は300万人いるといわれ、その潜在力を生かして経済を活性化させようというのが狙いだ。
僕は女ではないし子供もいないし自営業だし会社員として働いた経験もないから働く女性の苦労は正直言って分からない。そういう人と知り合ったこともない。ただ、300万人も働きたいと思っている女性がいるなんて驚きだ。
300万人も不満を抱えた女性がいるのにどうして何も起こらないのか。
そもそもこの「女性の活用」政策にしたって、女性たちの怒りの声を受けて政治家が動いたのではない。「産業競争力会議」という、日本をアメリカ化したくてうずうずしているニヤケ面した汚い、油ぎったオッサンたちが提案して生まれた構想である。政府のパンフレットにも「産業競争力会議で決定された方針に基づいて総理主導で女性が輝く社会を目指してムーブメントを創出する」と書いてある。
ちなみにこの「産業競争力会議」の有識者委員(民間議員)は全部で11人。うち女性は何人いるか?
秋山咲恵氏たったの1人。
女性はもっと怒っていいんじゃないかと。1人だよ?1人。
この事実だけで彼らの掲げる「女性の活用」なるものがいかに口先だけのものか分かりそうなものだ。300万人の女性がひとつになれば、この油ぎったオッサンたちのいやったらしい欺瞞なんかこっぱみじんに出来るだろう。
内閣府が出している「我が国の女性の活躍推進に向けて」というパンフを見ると、「支援」という言葉が1000回くらい出てくる。「女性のライフステージに対応した活躍支援」「理系を目指す女子高生への支援」「企業に対する助成金制度による支援の充実」「企業における女性人材確保への支援」・・・
これに対して「自立」という言葉は非常に少ない。
僕は女じゃないが、このいかにも女性を社会的弱者扱いした恩着せがましい言い草には違和感を感じずにはいられない。
「働かせてあげましょう」「守ってあげよう」「支援してあげよう」「環境を整えてあげましょう」「女性を雇ってくれた企業には報奨金を出しましょう」「男性も子育てに参加してあげましょう」
腹が立つ一方で、それもしょうがないのかもしれないとも思う。
いまの若い娘は根っこは真面目でストイックで、どこか分をわきまえているというか物分りのいいところがあって、戦う前から戦意喪失している。悪く言えば不感症、鈍感。
先日、山田太一の「ふぞろいの林檎たち」を見た。
ただのキザっぽい恋愛ドラマかと思ったら全然違う。男女6人の「成長」をテーマに、80年代の日本社会を痛烈に批判し、その中であえぐ若者の生き方をコミカルに描いていた。
特に印象的だったのは石原真理子、手塚理美演じる看護婦二人の存在だ。
結局、石原真理子は看護婦を辞めてキャバレーへ、手塚理美は看護婦を続ける道を選ぶのだが、二人に共通していたのは、どんなに周りが変わっても、どんなに自分に嫌気が差しても、焦っても、落ち着くための解決策として「結婚」を選択肢に入れなかった点だ。
この二人は「自我のある女」「男に負けない女」「自立した女」を体現しているので、結婚なんてどうでもいいのである。結婚なんかで自分を片付けたら女の沽券に関わると思っている。そこが素敵である。
手塚理美は専業主婦なんて御免だ、自分の母の様にはなりたくないと言い放ち、石原真理子は恋人の上司のオッサンにタマ蹴りを食らわす。柳沢慎吾の恋人役の中島唄子は慎吾ちゃんを守るために不良三人組相手に素手で果敢に立向かい袋叩きにあう。
闘う女のドラマである。
今の若い人の感覚からすると理解不能な行動の連続だろう。というか、こんなことテレビで言っていいのかと思うだろう。そういう時代のそういう女からしたら、今の若い娘なんかカカシみたいに見えるに違いない。

ちょっと前まで、日本の女は女であることを呪い、誇り、時には利用して、賢く、したたかに生きる術を心得ていた。というかそうしなければすり抜けられない「男性優位社会」でもあった。
今は逆だ。男が萎んだから、女であるがゆえの葛藤や苦しみも減ったのと同時に、女であるがゆえの得や旨みも減って、とりあえず「男みたいなヤツ」と出会って、セックスして、愚痴って、疲れて、子供生んで、育てる「個人」として在る。
精神的にも幼い女性が増えている。
母親が幼いから子供も似る。絵本代わりにスマホでユーチューブ観てなさいという親もいる。こういうママさんでも就業を希望していれば「支援」の対象だ。今後「ママーズ・ハローワーク」なる施設を増やしていく方向だそうだ。
きっとそれなりに女性が働きやすい環境にはなっていくのだろう。女性の管理職も増えるのだろう。
だが、この「女性の活用政策」は、フェミニズムともウーマンリヴとも何の関係もない、脂ぎったオッサンたちの毛むくじゃらの手の上に載った「施し」だということを言っておく。
それをありがたくペロペロと舐めるような女かそうでないか。
僕が女だったらタマ蹴りものだ。

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2014.08.19 | | 政治

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