こういう時代のレンタルDVD

映画をビデオ屋で借りなくなって久しい。『ビッグバン・セオリー』というアメドラ観たさにHULUに加入、その後奥さんが「楽天レンタル」というサービスを発見してからさらにビデオ店から足が遠くなった。
「楽天レンタル」は10泊11日で一本あたり50円(旧作)。送料がレンタル枚数1~2枚だと320円、3~5枚で520円かかるので、旧作を5枚借りた場合は総額770円くらいかかる。目玉が飛び出るほど安くはないし、タイトルも豊富とはいえないが、家に居ながら映画が借りられるのは正直楽だ。
ネットで申し込むと2日後くらいにポストにこういうのが届く。

最初見たときは「マジか」とドン引きしたが、慣れると「まあ、いいか・・・」みたいな。「TUTAYAディスカス」はもうちょっとマシな梱包だった気がする。返却ももちろんこの薄っぺらい袋に入れてポストに投函する。

映画を愛する人なら誰でもレンタルビデオ店の楽しさを知っている。本が好きな人は時間を忘れて図書館や古本屋に入り浸ることが出来るだろう。
ビデオも本も似たようなもので、背表紙を見ているだけで飽きない。僕と奥さんはレンタルビデオ店に行くと2時間は帰ってこない。何を借りるか吟味するのにかなりの時間を費やす。ストーリー、出演俳優、上映時間、監督、製作年、音楽家、原作の有無・・・裏ジャケに記載されたデータを頭の中で分析して「当たり」か「ハズレ」かを判断する。
その時間が楽しい。
僕が中学生くらいの頃はまだDVDがそれほど出回っておらず個人のビデオ店やローカルチェーンのビデオ屋が健在だった。放課後は毎日のように地元のビデオ店に入り浸ってはむさぼるように映画を借りた。同時に、その当時はまだ「金曜ロードショー」「ゴールデン洋画劇場」「日曜洋画劇場」「木曜洋画劇場」などテレビ映画も豊富だったから、気になる映画は片っ端から録画して溜め込んだ。
今思うと、あの状況で勉強するのは不可能だった。未来をフイにしてでも僕は映画が観たかった。「日曜洋画劇場」のナビゲーターだった映画解説者の故・淀川長治氏は「自分は映画からすべてを学んだ」と言った。「どんな映画にも必ずひとつは学ぶべき点がある」と。だから勉強なんかしなくたって映画を観ていれば大体のことは分かるようになると。なぜなら映画には森羅万象、この世のすべてが詰め込まれているからだと。
それを聞いてなおさら勉強しなくなった。
キー局への当てこすりとしてB級映画ばかり放送していたテレ東の「木曜洋画劇場」のナビゲーターは木村奈保子というオバサンだった。
ある夜「超能力学園 Z」という映画を放送した。80年代のSF学園コメディで、なぜか特殊効果をあのジョージ・ルーカスの「I・L・M」が担当しているという。ふたを開けたら念力で女子生徒のオッパイやパンティを拝むだけの映画だった。「I・L・M」の技術は何も宇宙船を飛ばすためだけにあるんじゃない、という例を示した最初の映画として僕の脳みそに刻まれた。
その数週間後、同局は「巨大イカの大逆襲」という映画を放送した。巨大イカが現れ、巨大イカが人間を襲い、巨大イカが暴れまくる、とにかく巨大なイカの映画だ。
本編終了後、ナビゲーター木村奈保子は毎週口にする決め台詞を吐いた。
「あなたの心には、何が残りましたか」
その晩だけは気のせいか、彼女の口元に嘲りの色が浮かんでいるように見えた。
映画だけ観てても賢くはなれないかもしれない―・・・。
僕は塾に通いだした。

それから3年もしないうちに地元のビデオ店はつぶれ、VHSは「過去の遺物」としてDVDにその地位を奪われた。万人受けするであろう最大公約数的なメジャータイトルが優先的にDVD化され、ビデオでしか残っていない大量の名作・秘蔵作品が廃棄された。個人店・ローカルチェーンは激減し、気付けばTSUTAYAとGEOが市場を独占していた。
ツヤタでもゲオでも、行けばそれなりに楽しい。
しかし所詮、チェーン店だ。うちの近所のツヤタは南米映画が豊富だけど、隣町のツタヤはポーランド映画がたくさんある、なんてことはありえない。大体同じタイトルが大体同じ数だけ並んでいる。
個人店が生きていた頃はそうじゃなかった。アッバス・キアロスタミならあそこ、小津のサイレント時代ならあの店にあった、大学の隣のあの店ならアメリカン・ニューシネマとヌーベルバーグが結構あるよ・・・。
そんな時代は終わった。
最初はネットで借りることに少しだけ抵抗があった。なんとなく怠惰な感じがしたし、即物的すぎて「ありがたみ」が感じられないからだ。お手軽に借りたものはその程度の気分でしか鑑賞しないと思っていた。しかしもう映画に関して言えば、実店舗ではかつてのような知的興奮は見込めない。ならば、ネットで借りようとどこで借りようと同じだ。
そのDVDの時代ももう終わろうとしている。ディスクも必要ない、HULUのような動画サイトで映画を観る時代になっている。
そんな時代に山田太一の「ふぞろいの林檎たち」を借りまくってマラソン上映するうちのお盆・・・。
時代に逆らわずに生きて行けたらどんなに楽だろう。

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2014.08.11 | | 映画の感想

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Author:yuhei
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