何を今さら個人情報

ベネッセ・コーポレーションが顧客2070万件分のデータを漏洩させ、大騒ぎとなっている。さすがに2070万件=2070万人(もしくは世帯)ではないとは思うが、新旧の情報合わせて相当量のデータが外に出てしまったことは確かだ。僕も子供の頃「赤ペン先生」によってさらに勉強が嫌いになった一人だから子供の頃の住所やら通っていた学校やらが他人の手に渡っちゃったかもしれない。
ああ怖い怖い。明日から営業電話鳴り止まなくなるわ。セールス押し寄せるわ。身に覚えのない請求書が送られてくるよ。
個人情報個人情報と人は言う。プライバシーが大事だと人は言う。
そう言いながら実名・勤務先入りのフェイスブックやLINEで友人知人と居酒屋で乾杯している画像を晒している。赤ん坊のハイハイしている姿を赤ん坊の名前入りでブログにアップする。彼女とプリクラで撮ったツーショット写真を公開する。
でもたったの一回でも「フレッツ光」の勧誘電話が掛かってくると、「おかしいな」と最近どこでメンバーズカードを作ったか記憶をめぐらせたりする。
僕はフェイスブックにもLINEにもツイッターにもミクシィにも興味はない。こうしてブログでつまらない話を書いているだけで満足である。
ニュースを見ていると、「フェイスブック」「LINE」という言葉がよく登場する。往々にしてろくでもない話ばかりである。
今年5月、大阪で准看護士の女性が中国女とブラジル国籍の女に殺されて、遺体が宅急便で送られるという痛ましい事件があった。ブラジル国籍の女は被害者の元同級生で、フェイスブックを通じて被害者に接触した。
フェイスブックなどに登録していなければ死なずに済んだ。
僕の周りにも「フェイスブックで懐かしい人を発見した」「実際に会ってきた」「近況報告し合った」という話は聞く。「フェイスブックをきっかけに別れた女とよりを戻した」なんて人もいる。フェイスブックさまさまだ。
そういう話を聞くたびに、「なんで?」と思う。
別に僕は暗い過去を背負っている訳でも元同級生たちから指名手配されているわけでもないが、そんな単なる自己愛から来る惨めったらしい偽善的再会に時間を使おうとは思わない。恐らく昔とは違う今の自分を見て欲しい、評価して欲しいという気持ちがそうさせるんだろうが、フェイスブックなんかで出会い求めてる時点でお前終わってるよと誰か言ってやれ。
でも目の前にパンドラの箱が半口あけてこっちを向いていたら、開けたくなるのが人情なんだろう。そしてどうでもいい忘れかけたクラスメイトやら元カレやらと「再会」して食事をする。連絡先を交換する。セックスする。相手がどんな目的で自分に接近してきたか、見極めることもせずに。
自分の過去をどれだけ掘り下げたって僕のばあい骨一本出てきやしないから、気になるのは元同級生の年収ではなく、庭のオクラがちゃんと実るか、である。
そんな「自分で個人情報を晒す時代」なのに、個人情報保護・犯罪抑止を名目に、最近は「本人確認」が非常にきつくなった。そのせいで物事がスムーズに進まないことが増えた。
一番うるさいのが役所だ。
うちの奥さんが義母(奥さんの母)から印鑑カードを借り、戸籍謄本を持って市役所に行ったときのことだ。印鑑証明はすんなり取れたが、市民課の窓口で「住民票は出せない」と言われた。同一世帯以外(同居以外だったかな)の人間が請求するには委任状が必要だと。
役所内の規則でそういうことにしているのだろうが、奥さんは母親と同居こそしていないもののかといって赤の他人でもない。戸籍謄本を見れば実の娘であることは明白であり、しかも本人から印鑑カードを預かって持ってきている。住民票と印鑑証明では印鑑証明の方が犯罪に悪用される率が高い、犯罪者からすれば「価値の高い書類」である。お金を借りるにも車の名義を変えるにも、必ず必要なのが印鑑証明である。
その印鑑証明を取れるカードを持っているのに、住民票は出せないという。実の娘なのに。
次にひどいのがインターネットバンキングだ。
これは完全に防犯目的なのだろうが、もういい加減にしろと言いたい。分かりにくいログイン画面から暗証番号、パスワードを入力して一定回数以上間違えると「このパスワードは失効しました」「新しいパスワードを設定して下さい」とか。ふざけんな。8ケタの小文字英数字なんてそうポンポン思いつくもんじゃない。これが一行だけならともかくA行、B行と複数の銀行の口座を持っている場合、頭をピストルでふっ飛ばしたくなる。銀行名とパスワードと暗証番号がごちゃごちゃになり、結局ログインできず、「忘れた方はコチラ」を押すと今度は「秘密の質問」だの「秘密の答え」だの面倒な手続きを強要され・・・・このストレスを発散させるべく銀行強盗に走る輩が増えるんじゃないかと思うほどややっこしい。
それもこれも全て息子の声も判別できない過保護で非常識なババアと、一攫千金に駆られたどっかの欲の皮の突っ張ったザマス・ババアどものせいだ。テメエらが身包み剥がされるのは勝手だが、そのせいで真面目に働く人間が不便を被っていることを忘れるな、と言いたい。
このあいだ都内のM警察署の取調室で生活安全課の警官に聞いたのだが、その署の管轄の銀行には、100万円を超える現金の引き出しがあった場合には警察署に連絡する義務を課しており、その度に警察官が出動することになっているという。
呆れていると、
「しかし銀行が最後の砦なんです」
と真面目くさって言う。「現に、今年だけで何件も挙げてますから」
かも知れないが、行き過ぎた「防犯」「個人情報保護」「本人確認」が一般の経済活動に支障をきたしているのも事実だ。午後二時、ババアと、社員の給料を引き出したい社長のどちらを優先させるべきか。答えは明白だろう。しかし腰に警棒をぶら下げた警視庁の若い警官に議論を吹っかけても仕様がない。
話を元に戻そう。
とにかく、極度に個人間のつながりが希薄になった現代において、人が「無料で」孤独を紛らすには個人情報の提供が引き換えであり、それを誰もが当然と考え、むしろ喜んで提供するような社会では、個人情報を守ろうというのは、湯船から溢れ出るお湯を掬い上げようとするのと同じで空虚である。
だから「虚栄心」や「つながりたい欲」を優先させて自分の個人情報を差し出している日本人のなかにベネッセに目くじらを立てる人がいるとしたら、それは筋違いだと言わねばなるまい。
僕自身、こうやってつまらないブログで自分の惨めったらしい生活を公開しているからには、何らかのリスクはあるだろうと覚悟している。
同時に、寄せられるコメントに励まされたり勇気をもらったり提案を受けたり、知恵を授かったり、実際に会うことはないがそれでも精神的な「つながり」はビシビシ感じる。
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2014.07.18 | | 時事問題

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