春を告げる勧誘

朝、玄関のチャイムが鳴った。廊下に出ると「だわよね」「あら、こっちにも」と何やら相槌を打ち合う声。そのメルヘンの世界に迷いこんだような乙女チックな声色だけで「誰」が来たのかすぐ分かった。一瞬、居留守を決め込もうかと思ったがドアを開けた。
案の定、手に冊子を持った熟女が二人。
男が出てきたのでちょっと面食らったようだったが、軽く会釈をして「お花、いっぱいで」と言った。それから玄関脇の寄せ植えを賞賛し、ハンギングに驚愕し、通路のパンジーやリースがあまりに素敵なのでここまで入ってきてしまったことを詫びた。
僕は適当に相槌を打ち、適当に受け流し、適当に断った。
前の家ではよく「エホバの証人」が来た。今回は「ものみの塔」であった。もっとディープな宗派の人も来たことがある。その人はいきなり「ハルマゲドンって知っていますか」と訊いて来た。「ああ、ブルース・ウィリス主演でエアロスミスがテーマソングを歌ってるしょっぱい映画ですよね」
ところで、このような宗教の人の到来は僕にとっては幸先のいい(?)出来事である。なんというか、彼女たちに激賞されて初めて今年のガーデニングが始まる気がするのだ。
彼女たちはドラクエで言うところのスライムみたいなものだ。というのも、彼女たちは路傍のカタバミやドクダミにさえ目ざとく反応し、時には酷く心を痛めたり、その感動を日記に綴ったりするようなタイプの人たちである。褒められないものなどない。ストッキングが伝線しても、美容院でウルフカットにされても、買ってきたタマゴがどう見てもLサイズには見えなくても、この美しいユニバースをお創りになった神への感謝を忘れることはない。
もしあなたの友達やお子さんや恋人が何度プレイしてもスライムに勝てないようだったら、あなたは他のゲームを薦めるだろう。スライムも倒せないようでは冒険は出来ない。RPG全般が無理。
それと同じで、庭に花壇なりハンギングなり寄せ植えなりがあるにもかかわらず彼女たちに気付かれもしないようでは、ガーデナー失格である。これっぽっちもガーデニング出来てないってことだ。
だから休日の朝っぱらから二人の妖艶な『神の使い』が訪れ、まるでエデンの園でも見つけたみたいに大騒ぎしてくれたことは、僕にとっては悪くない出来事だった。
もっとも、勧誘目的でない人だったらその百倍喜ばしいことだが・・・。
しかしそれはまだ先の話だろう。うちの庭、今のところ大して花は咲いてない。

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2014.03.23 | | 園芸コラム

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yuhei

Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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