アイリスオーヤマ 「ゴールデン粒状培養土」は安全か

汚染腐葉土の問題は基準値が発表されたことでなんとなく沈静化してしまったが、堆肥や腐葉土の他にも園芸愛好家たちの間で不安視されているものがまだある。

アイリスオーヤマの「ゴールデン粒状培養土」だ。

そもそもなぜこれが不安視されているか。順を追って説明すると、まず、汚染腐葉土が市販されている事実を明らかにした動画の中で、この「ゴールデン~」からも0.87msv/hの線量が計測されていたからである。6月の下旬にアップロードされたこの動画はぐんぐん再生数を伸ばし、二週間後には7万を超える再生数となった。
その後7月25日に「週刊現代」が(恐らくこの動画を見た)読者からの情報提供という形で関西地方にも汚染腐葉土が市販されている実態を記事にし、翌日にはテレビのニュースでも取上げられ、「汚染腐葉土」は瞬く間に世間に知れ渡った。
しかし実際に基準値を超えて市販されていたのが腐葉土や堆肥であったため「ゴールデン~」は全く問題にされず、ただのネット上の「噂」以上のものにはならずに今に至っている。
基準値を超えていないとはいえ、不安に思う消費者が存在するのならその不安を払拭するのも企業の仕事の一つだと僕は言い続けてきたが、販売元のアイリスオーヤマからはいつまで経っても「安全」を担保するような情報は発表されない・・・。

 

だから直接訊いてみた。問い合わせメールフォームから送信。
(※回答内容は「無断での転載・二次利用禁止」ということだったので、ブログに書く旨を担当者に伝えた)


(8月6日・1通目)

・汚染腐葉土の問題が取り沙汰されているが、「ゴールデン粒状培養土」は安全か。また、「ゴールデン~」の放射線測定値などがあれば教えてもらいたい。

 

・「ゴールデン粒状培養土」シリーズは全て中国の工場で生産しているので東日本大震災に起因する放射能の影響は受けておりません。(測定値に関しては無回答)


(8月8日・2通目)

・この手の質問はかなり多く寄せられていると思うが、貴社のHP等を見ても「ゴールデン~」の放射能汚染に関する情報は見当たらない。不安に思っている人が相当数存在しているのに、わざわざ消費者の側から問い合わせをしなければ分からないというのは不親切ではないか。本当に安全ならば、せめて「ガーデニングドットコム」(注:アイリスオーヤマの園芸専門サイト)にはこのメールで回答している程度の情報は掲載すべきでは? 

 

・現在、農水省からの詳しい検査方法等の指示を待っている状態。昨日、ようやく牛ふん等一部肥料に対する検査方法の指示があったので対象商品についてはこれから検査する。弊社の用土・肥料の何アイテムかは既に外部機関で検査をしていて問題ないとの結果が出ている。今後、確認のとれたものからホームページに掲載していくことを前向きに検討していく。

 

すると、アイリスのホームページおよび「ゴールデン~」の購入ページにはこんな説明が・・・↓

【生産拠点について】
ゴールデン粒状培養土はすべて弊社の大連工場(中国)で生産しております。中国産の原材料【粒状土(草灰)、バーミキュライト、パーライト、元肥】のみを使用し、配合、加工、包装もすべて一貫して大連工場内でおこなっております。

【安全性に関する見解】
弊社の大連工場は東電福島第一原発から約1600㎞離れた位置にあります。また、中国大陸における放射性物質による汚染の報告はなく、原発事故によって飛散した放射性物質が製品中に混入している可能性は極めて低いと考えております。

意見を聞き入れてくれたのは有り難いが、ホームページをよく見ると、この情報を公開した日は7月9日となっている。7月の時点でこんな説明があったか記憶が定かではないのだが、もしそれが本当だとしたら僕の意見を「前向きに検討する」といった担当者の言葉は何だったのか・・・。既にこのような情報を公開していたのであればどうして「いや、もう載せてありますよ」と言ってくれなかったのだろうか。このようなことを考慮すると、やはりこれは7月ではなく8月の誤りであろう。
※この記事をアップしたあとアイリス側は8月に訂正した。

ゴールデン粒状培養土と中国

それにしても中国産とは意外だ。「ゴールデン~」より遥かに安い培養土でも国産のことが多いので、「最高級培養土」、「土の王様」と名乗るくらいだからてっきり純国産と思い込んでいた。ならもっと安くしろよと言いたいが、多分、原料の中に中国でしか取れない何かが入っているんだろう。
また、中国国内における汚染の可能性に言及している点だが、福島原発の影響による汚染がないのは分かるが、「中国大陸における放射性物質による汚染の報告はなく」と言われても説得力はゼロだろう。なにせ人命より運転再開を優先して事故車両を埋めてしまう国である。「報告がない」ことそれ自体が危ないと思うのは心配のし過ぎだろうか。
今現在中国では14カ所で原発が稼働している。もちろん原発関連施設もある。しかしそれらは国家機密となっており、たとえ事故やトラブルがあっても国民に報されることはない。中国は自然災害による死者数でさえ05年まで国家機密にしていたほどだから、放射能汚染状況などもってのほかだろう。いつどこでこっそり「ベント」が行われているか分かりゃしない。日本でさえこと原発となると情報がシャットアウトされ国民が見殺しにされるのだから、中国の原子力管理体制がどうなっているか・・・推して知るべしだろう。実際、昨年、中国の大亜湾原発で放射性物質が漏れる事故が起きているが、政府はメディアが騒ぐまで隠していたとも聞く。
もっと言えば核実験がある。中国は1964年から1996年までの約30年の間に計45回の核実験を行っているが、そのうち80年代までの核実験は地下ではなく地上核実験である。もっとも、実験に使われたのは新疆(しんきょう)ウイグル自治区(東トルキスタン)であり、この地域は面積の4分の1が砂漠なので園芸とは無縁だろう。だが放射性物質が偏西風に乗って東へ飛散し、土壌に蓄積されていた可能性も考えられないではない。
「ゴールデン~」が中国の工場で生産されているのなら、恐らく原料には中国国内で採取された土やピートモスなども含まれているはずだ。問題の発端となった動画の中で「ゴールデン~」からは0.87msv/hの線量が計測されているが、もしこれが線量計の故障でないとするならば、中国国内で採取した原料が既に汚染されていたか、なんらかの理由で袋が汚染されたと考えるほうが自然だろう。つまり、3月11日の原発事故以前に計っても、この数字が出た可能性がある。


中国は2020年までに新たに28カ所で原発を運転させる気でいる。そして2050年までにはなんと230基へ増やす計画もあるという・・・。

アイリスオーヤマは大連に工場を持っているそうだが、大連のある遼寧省(りょうねいしょう)ではいま、紅沿河原発なる大型原発が建設中であり、2014年に運転開始を予定している。
だから何だ?と言われればそれまでだが、僕はただ、野菜などでは「中国産」というのはネガティヴな情報であるのに、放射能汚染に限っては福島から1600キロ離れているというだけの理由で、「安全です」と言えてしまうオカシサを指摘したいだけである。

福島産でも栃木産でも安全なものは安全である。どこぞのテレビ局の「せしうむさん」ではないが、東日本産はやばい、東北産は危険、だから福島原発から遠く離れた中国など外国産のものを選ぼう、というのは気持ちは分かるが少々安直である。中国にも原発はある。それを頭の片隅に置いておくべきだろう。


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2011.08.12 | | 放射能・汚染腐葉土

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