メディアと人権侵害救済法案 前編

人権侵害救済法案なる法案が秋の臨時国会に提出される予定だという。これは不当な差別や人権侵害を受けた被害者を救済するという目的で作られた法案なのだが、実はこの法案、大分前から「現代の治安維持法だ!」と批判されていた、いわくつきの法案なのだ。

民主党が思いつきそうなことだ、と思う人もいるかもしれないが、実は言い出しっぺは自民党だ。確かに外国人に参政権を与えようとしたり、国民を無駄に被爆させたり、北朝鮮とつながりのある政治団体に二億円も献金したりしていてはそう思われても仕方ないだろうが、もともとは2002年に小泉内閣が国会に提出した「人権擁護法案」(翌年に廃案)がベースになっている。その自民党の「人権擁護法案」の対案として民主党が作成したのが「人権侵害救済法案」で、いま民主党が可決させようとしているのは、これを修正したもの。とは言っても、この「人権侵害救済法案」、当時から既に批判されていた自民党の「人権擁護法案」よりさらに酷い、というのが問題で、「擁護法案」は廃案になったからいいものの、こちらの「侵害救済法案」はどうやら可決される見込みが強いという。

では一体この「人権侵害救済法案」の何がそんなに問題なのか。「人権侵害救済法反対:全国陳情プロジェクト」さんのサイトを参考に以下に要約した。

◆国民の人権侵害や差別を監視する「人権委員会」(別名・3条委員会)を設置し、国民の言動を監視する。
◆人権委員会は政府の管轄下に置かれることになっているが、裁判所とも警察とも無関係の独立した組織で、裁判権や制裁権を有する。
◆また、同法案の第十一条第2項には委員の要件として・・・「この人権委員会の委員長および委員の任命は、人権の擁護を目的とした団体、もしくは人権の擁護を支持する団体の構成員または人権侵害による被害を受けたことのある者が含まれるようにしなければならない」・・・とあり、つまり人権侵害の被害者、もしくはその被害者を支援する団体の人が優先的に選ばれるようになっている。
◆さらに、この人権委員には国籍条件がない。(在日外国人でも委員になれる)
◆「報道機関等による人権侵害については特段の規定を設けない」となっている。要するにTV、新聞などマスメディアは規制の対象にならない。
インターネットは規制の対象になる。
◆そのうえ、何もしていなくても罰せられる。(委員会は)「人権侵害や、放置すれば不当な差別的取り扱いを助長し、または誘発する恐れがある場合には(第四十六条)出頭を求め、質問をすること、人権侵害等に関係する文書、物件の提出を求め、とどめ置くこと、人権侵害の場所に立ち入り、検査し、関係者に質問すること(第四十七条)」が出来る。
◆そもそも、何が差別で何が人権侵害に当たるのかの定義が曖昧。

 

 ほくそ笑む既存メディア

 

というように、人権擁護どころか、人権蹂躙以外の何物でもないことが分かる。現代の「治安維持法」と呼ばれるゆえんである。在日外国人や被差別部落の人たちの人権も大事だが、いくらそれを守るためといっても、さすがに行きすぎだと思うのは僕だけではないだろう。最初にこれを知ったとき、ヒトラーに憧れる中学生の覚え書きか何かかと思った。

ちなみにマスコミを規制から外したのは、小泉内閣時代に自民党がこれの前身である「人権擁護法案」を通そうとしたときに、メディア規制を入れたらテレビ、新聞をはじめ各方面からもの凄いブーイングが起こり、世論の反発を招いたからだ。(今思うとマスコミ規制を入れていただけ自民党の方が数倍フェアーだったのだが・・・)それを見ていた民主党は同じ轍を踏まないよう、マスコミを規制の対象から外したというわけだ。これが功を奏して、現在、マスコミ各社はまったくと言っていいほどこの問題を報じない。(この問題だけでなく、国民にとって大事なことは何も報道しないのだが)

ネットが規制されて一番喜ぶのは多分、在日外国人でも部落の人たちでもなく、既存マスコミだろう。ただでさえ広告主を奪われ、視聴率を奪われ、「国民に真実を報せる」という、自分たちには逆立ちしたって出来ないことをいとも簡単にやってのけるネットを目障りに思っていたのだから、そのネットが規制されるとあって、わざわざ報道して世論を「反対」になびかせてやる義理などない。この法案が通れば、動画の削除理由にだって「著作権」という法的に曖昧なものではなく、「人権保護」という誰も反論できない「錦の御旗」を新たに付加することだって出来るのだ。今後、「この動画は人権侵害の恐れのあるため削除されました」なんて削除理由を目にする日が来こないとも限らない。(後編に続く)


クリックしてもらえると励みになります。
simpsons_ba

関連記事

2011.07.30 | | TV・メディア考

«  | ホーム |  »

プロフィール

yuhei

Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
「一般教養としてのロック史」管理人。興味のある方は覗いてみてください。ネットショップも地味に
コメ欄クローズ中ですので、現在お声はメールでお願いしております。
⇒ mail@brightside82.com

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新コメント

最新トラックバック

検索フォーム