災害とスマホ

北海道で地震が起きた。7月の北海道出張では函館、松前、札幌、美瑛と周り、最後は苫小牧港から船に乗って帰ってきた。
札幌も美瑛も苫小牧も激しい揺れに見舞われ、住民は今も断水と停電のなか不安とストレスの夜を過ごしている。
ニュースを見るとスマホの充電を求める人々の長蛇の列が映っていた。
東日本大震災のとき誰もが並んだのはガソリンスタンドだった。
まだ寒かったから灯油を求める人、いつでも関東から脱出できるよう備える人で各地のガソリンスタンド前の道路が渋滞した。
スマホの充電のための大行列というのはある意味時代の変化を示している。
東日本大震災のころはまだ半分くらいの人がガラケーを使っていたし(自分もそうだった)、スマホの利便性、使いやすさも今ほどではなかったから、デスクトップやノートPCで情報を得、共有していた。
あれから7年経ち、いまやスマホはライフラインのひとつ・・・いやもうライフそのものになった。
だからこそあそこまでの列が出来る。
友人知人にLINEで安否を確認したり、ツイッターで情報を得るためには必要不可欠なのだ。
逆に言うと、このような非常事態にあっては、テレビ・新聞・ラジオなどというものは現代人にはもはや無用の長物でしかない、ということでもあろう。

恐怖を味わったとき、人を最も安心させるのは何か。
その不安や恐怖を<シェア>(共有・共感)する相手がいること、である。
お互いの身に起こったことを交互に<伝える><伝え合う>ことで徐々に不安と恐怖は薄らぎ、冷静になってゆく。
ラジオやテレビの一方的な情報を見ていても断片的な情報しか手に入らず、落ち着くどころかむしろイライラするばかりである。
そんなものを見ているより、友人や近所の人と話をするほうがずっと安心感が得られるはずだ。
そういう意味ではLINEやツイッターなどのSNSと相性のいいスマホは、雪山における湯たんぽのようなもので、肌身離さず持っていたいというのは当然である。
大体テレビなんてのは安全な場所にいる視聴者に現地の状況を見せるために作られているようなもので、実際に被災地にいる人に向けてはほぼ何も発信していない。せいぜい「声を掛け合って出来るだけ遠くへ逃げてください」とか通り一遍の注意喚起をするくらいで、あとはわざとらしい神妙な面持ちで台風や地震の<原因>とやらを「分析」するだけだ。

スマホには電気がいる。
そしてなによりあれは基本的に一人が一つの画面を見るもので、テレビのように広間に置いて皆で見る、ということはしにくい。
有益な情報を得ても仲間内やサイト内で拡散は出来てもすぐそばの不特定多数の人にパッと見せ知らせることは出来ない。
それが出来るのはテレビである。
定食屋のテレビに映ったナイターで、バッターがホームランを打つとみんなの箸が止まる。宙を飛ぶ小さな白い球っころの行く末を見守らずにはいられない。
物理的なサイズと、その空間にいる全員に見ることを強いるような図々しさ、存在の強さ。
それがテレビの最大の武器といってもいい。
それなのに災害時ではハッキリ言ってほとんど役に立っていない。ウドの大木である。
だから誰もがスマホを充電しに列をなすのである。

のんきに「スマホの充電を求める長い列が出来ています」などとキャスターは言っているが、その光景が何を意味するのか当のテレビ側の人間たちはまるで分かっていない。
どこまでも自己陶酔的で自己中心的なメディアである。
あの行列が意味するのは、災害時には2時間半のワイドショーより、たった一通のLINEのほうが現代人には重要だ、ということを意味しているのである。
なぜなら、たった1通のLINEやメールで、自分も、自分の大事な誰かも、安堵させ、癒し、救うことが出来るからである。


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大阪 産業廃棄物収集運搬業許可 行政書士

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2018.09.06 | | TV・メディア考

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yuhei

Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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