園芸×カフェ

園芸もファッションであるから、「流行」がある。花の種類の流行、色の流行、飾り方の流行・・・。70年代にはゼラニウムが爆発的にヒットして、マンションのベランダにゼラニウムをドカンと咲かせるのが奥様たちの憧れだった。90年代後半になると宿根草に注目が集まり、「ナチュラルガーデン」の時代が来た。00年代には多肉植物やエアープランツといったそれまで見向きもされなかった植物が若い人たちにも受け入れられて、1ジャンルを築くまでになった。
これからも見たことも聞いたこともないような珍種が紹介されてヒットするだろうし、今となっては憧れでもなんでもなくなった花がリバイバルすることもあるかもしれない。
楽しみは尽きない。
しかし一方で、単に「新しい花」「新しいジャンル」で新たなトレンドを作る、という方法論は少し古くなってきているのかな、とも最近思う。
少し前にも書いたが、いま、「カフェ」と他業種がコラボレートしてこれまでになかった憩いの空間を演出するという試みがいたる所で行われ、成功している。スタバとツタヤがタッグを組んだ「ブックカフェ」が代表的なものだが、そのほかにも雑貨店とカフェが一緒になっていたり、表参道には「文房具カフェ」なんてものもある。うちの近所のヘアサロンは2年ほど前から店の前にかわいいコーヒーカーを置いて道行く人の視線を集めている。また、ちょっと違うがオタクたちの間ではアニメの世界にちなんだ軽食を出す「コラボカフェ」なんてものまである。
もちろん、園芸もご多聞に漏れず、先日紹介した千葉の稲毛のある園芸店では、「プランツ」×「カフェ」を実践していた。
もっとも、本来カフェ的空間と親和性が高いはずの園芸店でそれを実行しているお店はまだ少数である。「カフェコーナーもあります」「2階はカフェになってます」というお店はちらほらあるが、あくまで花苗売り場とは区分けされていて、上述したようなブックカフェや雑貨カフェとは微妙に違う。
一連のコラボカフェの「考え方」の基本にあるのは「時間の提供」である。
これもいいでしょ?あれもいいでしょ?買うの?買わないの?という押し売り形の「商品の提供」ではなく、そこで何をするのかを客の自由にゆだねる、「客本位」の鷹揚さである。だから店舗設計も、入りやすい間口の、オープンな形をとっている場合が多い。
で、話を園芸に戻すと、外国の新しい花やプランツを持ってきて園芸人口を開拓するのも大事だが、「いま、人々はどういう風に「新しい自分」を発見しているのか?」ということを考えるのも大事なのではないかと思う。
つまり、園芸に関心のない人たちにどのように「きっかけ」を与えるのか。
そして、これからの「ガーデニング」はどういう風に変化してゆくのか。

下の画像は5月に二子玉川で目にした光景である。

見れば分ると思うが、ここに来ている人たちは別に園芸愛好家でもなんでもない(と思われる)人たちで、休日の午後を家族や友人と楽しく過ごすために来ている。
周囲は緑に飾られ、頭上にはたくさんのハンギングバスケットが吊るされている。

こういう場所が存在し、そしてそこに市民がたくさん集まって憩いの時間を過ごしていることに僕は驚いた。
ここも確か有料のスペースで、みんな併設のワゴンで売っているドリンクや軽食を買って食べていた。
「ガーデニングカフェ」と銘打っていたわけではないが、きわめてそれに近い空間演出がなされている。

もっとも、僕は別に全ての園芸店はカフェもやるべし!などと言いたいわけではない。というか無理して園芸店にカフェなんかくっつける必要はないと思っている。
重要なのは「カフェ」ではないのだ。ましてやコーヒーの味でもない。
コラボカフェのやっている「カフェ」とは「カフェ的空間」つまり「自由な感じの空間」という程度の意味だと思っている。
大事なのは、いかに若い人たちを園芸ワールドに引きずり込むか、ということである。
その方法として、真新しい苗を花キューピッドや既存の園芸店に放り込むやり方はあまり意味がないんじゃないかと思うのである。
園芸店に来るのは僕たちのような「ガーデナー」であり、ずばり言うと購買層もシニア世代が中心である。
今のシニアは元気いっぱいだから疲れて庭に出なくなるのはあともう20年くらい先の話だろうが、その「庭」がこの国から減りつつあるというのが問題なのだ。それはひとえに若年層が「植物と暮らすこと」より「いかに収納スペースを確保するか」に重きを置いているからに他ならない。
子育て世代が一向に庭に価値を見出さないからハウスメーカーは「それなら」と、古い一軒家を潰してそこに狭小3階建てを2棟3棟建てるという商法をやめない。やめる理由がない。それで単価が安くなりゃまだ救いもあるが、さいたまクラスの地方都市だと新築は3、4千万~は当たり前である。
こんな馬鹿な話はない。

園芸カフェが増えれば誰もが庭を欲しくなる!などという単純な話でないのは分っているが、「植物と一般ピープルの距離を縮ませる」という点に置いては、可能性を感じてしまうのだ。
こういうのをプロレス用語で「対世間」(たいせけん)という。(別にプロレス用語でいわなくてもいいんだけど)
プロレスに関心のない(むしろ嫌悪している)一般ピープルをどう取り込むか、レスラーたちは日々頭をひねらせている。
消費者がいま「ただ買う」ことに価値や楽しみを見出さなくなっているのなら、園芸界も「ただ売る」「ただ飾る」では通用しないし、既にベテランの域に入っているシニア層にだけ「園芸の面白さ」をアピールしても意味がない。
多肉や観葉植物は庭がなくても楽しめるから若い人にも親しみを覚えられたのだろうが、これからは「庭がなくても」の枕詞は捨てて、「庭があると!」の時代に変える。

そこでコーヒーを飲んでいると自然とそういう考えになっちゃうような、そんな園芸カフェがあったらなと思う。

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2017.08.08 | | 園芸コラム

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Author:yuhei
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