期待外れ!HULU日本版はなぜ駄目なのか

HULU(フールー)という有料の動画サイトがある。アメリカで人気となり、今年9月に日本に上陸した。このサイトのことは前から知っていたので、「日本上陸」の報を聞いたときは感動で飛び上がりそうになった。これで日本ではシーズンの途中までしか見られない「プラクティス」や「キング・オブ・ヒル」といった海外TV番組を思う存分楽しめる!と思ったものである。(→その時の記事はコチラ
さっそく一か月間お試しのトライアル会員に加入しようと思ったが、目当てのドラマがまだシーズン2までしかアップされていなかったので、「Coming soon」の文字を信じて待つことにした。
しかし一向に追加されずに一か月が過ぎ、二か月が過ぎ、3カ月経った今も一向に追加される気配がない。
駄目だこりゃ!


そういう訳で、HULU日本版は当初の輝きを失い、僕の中では期待外れのヘボサイトとなってしまった。その他のコンテンツも同じような状態で、開店休業といった感じだ。「Coming soon」のページを見ても、正直、「加入してまでも観たい!」と思う作品は少ない。どれもレンタルビデオ店を回れば容易に手に入れられそうな物ばかりだからである。

別にメジャーの作品が多いから駄目だなどと言うつもりはない。より多くのネットユーザーを取り込むには、そういうコンテンツも必要だろう。ただ、複数の映画会社が手を組んでボーダーレスに作品を提示できるサービスにしては、あまりにも凡庸に過ぎる。

日本は世界有数の映画消費国である。今でこそスクリーン数も減少し、レジャーに「映画」と答える人も減ってきているが、かつては毎日のようにテレビで映画がやっていたし、50代以上の世代は3本立てのレイトショーで夜を明かすなんて日常茶飯事だった。それに、そもそも日本は「オタク」の国である。手塚治が無頼の映画好きであったように、日本の漫画家で映画が嫌いな人間など見つけるほうが難しい。そのように、映画がオタクを育て、オタクがアニメを育て、そうやって日本のサブカルチャーは形成・成長し続けてきた。日本人にとって映画ほど身近な娯楽はなかったのである。それはロックをしのぐ。

そんな映画マニアの多い日本において、こんなヘボいコンテンツで勝負しようとするHULUは、日本人をなめているだけでなく、理解もしていない。
大体、「Coming soon」のまま3カ月も放置するなど普通ではありえない。そんな体たらくな状態で「加入してください」と言われて誰が加入するというのか??

大方、加入者数が一定の数に達したら追加しようという腹なんだろう。しかしあまりにも加入者数が少ないので利益が上がらず、作品を追加できない・・・そんな悪循環に陥っているように僕は思う。
それはおそらく、その姑息さがユーザーに見透かされているからである。僕のように喉から手が出るほど「観たい!」と思いながらも「様子見」をしている映画・アメドラファンは相当数いるはずだが、相手が手の内をなかなか見せないので、こちらも財布の紐を緩める気が起きない。膠着状態である。

コンテンツ・ビジネスのコンテンツとは「中身」という意味である。その「中身」が映画か音楽かアニメかの違いはあれど、豊富な中身があってこそ成り立つビジネスである。

僕がHULU日本版の責任者なら、まず老若男女が楽しめるメジャー作品、娯楽大作、そして50年代からの有名映画賞受賞作品とクラシック名画を一万本ほど用意する。そしてその十倍の数の未公開作品、短館系映画、インディー作品、レアもの、B級、C級映画、短編映画をアップする。音楽ドキュメンタリーやハウツー、料理番組、旅番組、スポーツ、教養、裁判の映像、犯罪、政治番組といった比較文化としても楽しめるようなコンテンツも必要だろう。もちろんアニメも。

そんなコアなものは誰も見ない。と思われるかもしれないが、そうだろうか。
ネットの中は「まだ見たことのないもの、まだ知らないこと」を求める向上心旺盛なユーザーでいっぱいだ。飢餓状態といってもいい。なぜなら、この国ではテレビが彼らの欲求に答える能力を失ってしまい、ネットはネットで、せっかくいい動画を見つけたと思っても翌日には削除されるといったうような「いたちごっこ」の状況が続いているからである。今必要なのは、そのような「知的難民」の受け皿になるような動画サイトではないだろうか。

HULUにはもはや何も期待しないが、加入者数を増やしたいなら安易なラインナップで最大公約数を狙う作戦は捨てたほうがいい。

関連する記事「HULU~coming soonはどこ行った?~」

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2011.12.20 | | TV・メディア考

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