不思議な家の不思議な話

この家と自分は不思議な力でつながっている。

半年ほど前だがこんなことがあった。
とある顧客とのミーティングのため、顧客の自宅へ伺った。2世帯らしく顧客本人とご両親がおられた。お母さんは豊かな白髪のほがらかな感じの方で、胸にブローチを着けて三越あたりで買い物していそうな人であった。旦那さんはスラリとした少し厳しそうな感じの人で、息子のことが心配なのか、うしろのダイニングテーブルに座って新聞を広げるも耳だけはこっちに向けているのがありありと分かった。
ミーティングを始めて早々、お母さんが「私が口を出しちゃいけないんでしょうけれどもね」とニコニコしながら質問してきた。それに答えていると今度は別の疑問がお父さんのほうに湧いたらしく、今度はそっちから質問が飛んでくる。息子は真ん中で適当に相槌を打ちながら僕らが持って来た資料に目を通している。父、母、息子、それぞれが違う場所に座っているものだからこっちはどこを向いて喋ればいいのかという感じで、首をおかしくしそうだった。
本人より親のほうが前のめりというケースは初めてだった。
興味なさ気に「いつ終わるのかしら」と白けた顔で横にいられるよりずっといいけれど。

それから2ヶ月ほど経ったころ、どういうわけかそのご両親がこの事務所に来た、という報告を受けた。
僕は留守だったのだが、留守番をしていた同僚のA君によると、そのご両親が来たのは仕事とは全く関係のない話だった。それどころかここが僕たちの事務所だとも知らずにやってきたという。
「あのご両親、ここに前住んでいたおばあさんと個人的に知り合いだったみたいでさ。その人に会いに来たんだって」とA君。
「本当か」
ちなみにそのおばあさんは亡くなっている。
「で・・これ、置いてった」
と渡されたのは薄い冊子と何かのチラシ。
見るとそこには「美しい日本の憲法を作る国民の会」とあった。
「驚いてたよ、○○事務所ってあるからまさかと思ったらこの前うちに来た事務所だったって」
「こっちは二重の驚きだな。前住んでた人と知り合いだったのもそうだけど、このビラの内容!」
憲法反対のビラを配る人はよく見かけても、憲法改正のためのポスティングをしている人はそう見ない。ましてやそれが以前全くの別件でお邪魔した顧客のご両親で、しかもこの家に住んでいたおばあさんの知り合いである確率・・・・。
とりあえず相当レアなのは確かであろう。
「ちゃんと『うちも賛成です』って言っといた?」
「もちよ」とA。

そういうわけで不思議な吸引力を持った家なのである。
何かが宿っているのである。
思えば2年半前、不動産屋のサイトから当たりをつけてこの家を「盗み見」しにきたとき、通路を上がって、門扉の上から庭を覗き込んだ瞬間、それまで風なんかなかったのに、ふいに一陣の風が僕と奥さんのカラダを突き抜けていったっけ。
白昼夢でなく、誇張でなく。アニメの見すぎでもなく。
夏の終わりの午後に、放置された庭が自分を見ているのが分かった。

そんなこんなで、
これからもきっと、また不思議なことが起こるだろう。

不思議で、楽しいこと。
僕たちは花を咲かせてそれを迎えよう。

出て行くその日まで。

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2016.09.24 | | 園芸コラム

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Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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