ふるさと、好きですか。

最近気付いたのだが、さいたまでは雲の陰を見ない。
千葉にいた頃はよく流れる雲の陰が地面を走るのを見た。雲が太陽の前を通り過ぎるたびにふっと暗くなったり明るくなったりして、雲の陰が作る模様が自分の腕や伸ばした足の上を走っていくのを見るのは子供心におかしかった。
海が近くにないと見られないのだろうか。


夏はノスタルジーの季節である。
自分も年をとるにつれて房総半島に郷愁を感じるようになってきた。
交通の便を考えたら房総など人の住む場所ではない、と地元の人間が言うくらい不便な県だが、そのトホホな半島が僕の故郷なんだからしょうがない。
ただしそれも外環自動車道が市川まで連絡し、圏央道が全区間開通したらかなり改善されるだろう。埼玉から千葉へ、千葉から埼玉へ、近いようで恐ろしく遠かった二点間の距離が一気に縮むはずだ。

ところで埼玉の人は千葉が好きである。

埼玉の人に「千葉出身です」と言うと大抵羨ましがられる。社交辞令かもしれないが、これがそうでもないようで。
というのも、2016年にブランド総合研究所という機関が行った調査によると、埼玉県民の郷土愛は全国最低、郷土自慢も下から3番目なのだ。
千葉県民も低いが、埼玉ほどではない。

つまり日本で一番「地元を愛せない人たち」が埼玉人というわけだ。
しかし千葉で生まれ育ち、19歳から今まで埼玉で暮らしてきた僕から言わせてもらえば、埼玉の「自虐」と千葉の「自虐」は質が違う。
埼玉人が自分の県を悪く言うのは単に観光資源に乏しいからである。
埼玉は鉄道も高速の乗り場も道路も千葉よりずっと整備されており、本音では「住みやすい」「暮らしやすい」と思っている人が多いはずだ。だからこの埼玉の「自虐」は一種の「ブラックジョーク」と捉えたほうが現実に近いだろう。ケラケラ笑いながら「なんにもないわー!」と軽く言えてしまう、そしてこういったランキングで最下位であることにさえ喜びを感じられてしまうのが埼玉人なのだ。要するになんだかんだ言って満たされているのである。
それに比べて千葉はと言うと、もうちょっと切実である。
大体、千葉人の場合「自虐」とは言わない。そんな軽いものではない。「郷土HATE」とでも言うべき、もっと怨念めいた感じのものである。
まあ、このランキングを見る限り茨城県民も千葉や埼玉に負けず劣らず地元嫌いのようだが。。

「ふるさと」を誇りに思える人、思えない人。
地元の駅名を見るだけで虫唾が走る人、追憶に胸がときめく人・・・。
人によって故郷への思いは異なるだろうが、故郷は自分の肌と同じで、あとから交換したり抹消したりできない。だからこそ絶望的であり、同時に愛情も持ちえるのである。
僕は自分の育った街を誇らしく思えたことなどただの一度もなかったが、今では愛しく思える。
電車も1時間に一本しかなく、駅は無人で、近隣出身の偉人と言えばプリティ長嶋くらいしか思い当たらない土地だったが、今ではそんな土地が帰省するたびに変わって行くのを寂しく思う。10代の頃はずっと故郷を否定していたクセに、故郷の側がどんどん変容していくと、自分の一部まで失われるような気がして面白くないのである。
悲しいかな僕には「お盆休み」というものはないのだが、これから帰省する人たちは故郷に何を見、感じるのだろう。
新幹線の走り去る駅のプラットホームを眺めながらそんなことを考えた。

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2016.07.31 | | トラックバック(0) | 未分類(日常、随筆)

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