パルコのロックメモリー

金曜日は千葉で仕事で、仕事帰りに千葉パルコに行ってみた。本当の目的は半袖のYシャツを買うことだったのだけど、間違って降りた途中の階でこんな催しをやっているのを発見、カラダに電気が走った。
中古レコード掘り出し市。
こんなものは珍しくもなんともないのだが、僕にとってはちょっと特別である。今この場所でこれに出会う、というのが特別なのだ。
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僕のロック遍歴のスタート地点は80年代の映画と、父の持っていた古いレコードだった。
中学2年の頃、ロックより先にまず映画が好きになって、「ストリート・オブ・ファイアー」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ブルース・ブラザーズ」「グーニーズ」「摩天楼はバラ色に」などを観てはこんな素晴らしい映画に出会わせてくれたことを神に感謝する、意味不明な少年になっていた。挿入されている楽曲と映像の相乗効果に心を奪われた。「MTV」など知らないので、レンタルの返却期限までの間、気に入ったシーンを繰り返し再生して「ミュージック・クリップ」のように楽しんだものだ。
当然だが、そこから「ロック馬鹿」になるのにそう時間はかからなかった。
中3になって、父がかなりたくさんレコードを隠し持っていることを知り、盗み聴いた。
ワーナーやアトランティック、モータウンといったレーベルに所属するバンドやアーティストのコンピレーション盤や、当時ヒットしたリズム&ブルースのベスト盤などだ。
アレサ・フランクリン、スティービー・ワンダー、スピナーズ、テンプテーションズ、シュープリームス、マーサ&ザ・ヴァンデラス、フォートップス・・・・。
80年代ムービーにしろモータウンにしろ、時代遅れなんてものではなく、周囲に同じものを観たり聴いたりしているヤツは親友(でもあり現同僚)のA君を除いてほぼ皆無だった。
洋楽はレディオヘッド、オアシス、レイジ、レッチリ、ビョーク、BECK・・・・
邦楽はGLAY、ラルク、ハイスタ、ドラゴンアッシュ、ゆず、宇多田・・・・みたいな時代に僕はこういうのを探しまわっていた。

自宅から一番近い都会が千葉だった。
高校2年のある夏の日、たまたま千葉パルコに来たとき、まさに↑のような中古レコードの掘り出し市がやっていて、A君とともに狂喜乱舞しては競い合うようにレコードを買いあさった。
陳列棚の前、こめかみに汗を滲ませながら、直立不動の姿勢でカシャカシャとレコードを引っこ抜いては「裏ジャケ」を確認、「キープ」だと思ったら横に平置きにしてまた進んでいく・・・・そんな時間を何度となくこの千葉パルコの片隅で過ごした。
年頃らしく何人かの女の子とデートもしたし付き合いもしたけど、多分、その頃の僕にとってはロックが恋人であった。
同時に教師でありセラピストであり精神安定剤でもあった。
何人(なんぴと)もセックスピストルズほどは僕を慰めることは出来なかったし、どの女の子もリッチー・ブラックモアのギターソロほど気持ちよくはなかったし、同世代の連中が電車の中で爆音で聴いているJ-ROCKなるものは僕からしたら氷室や布袋の足元にも及んでいなかった。そういう意味では現実の日々は非常に「BAD FEELING」だった。
誰も見向きもしない、一昔、二昔前のレコードを探しながら、僕はそういう現実から自分をかくまっていた。同時に反撃の方法を模索し、自分が勝利する場面を夢想していた。
時代そのものが敵だった。
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ここに立っていると、そんな遠い昔の、小便くさい自分の姿が浮かんでくる。
同じ店が再現されたのかと思うほど、あの時の店とそっくりだ。(値段は高くなっているけど)
もう最近はレコードをあまり買わない。
ターンテーブルを回すこともめっきり減った。フラストレーションのはけ口として聴くより、純粋に陶酔するために、素敵なドライブにするために聴くほうが多くなった。もしくは庭作業のBGMとして。
年をとったのである。
でも僕の暮らしの中からロックは消えないだろう。
なぜならロックとは反逆する人間の血の中に潜むものだからである。この世界に「クソったれ!」と思うものが存在する限り、僕はロックであり続ける。

ちなみに、千葉パルコは売れ行き不振により今年11月に閉店することが決まっている。
ロックの神様が最後に見せてくれたのかもしれない。

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2016.07.17 | | トラックバック(0) | 音楽

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築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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