プロVSホームガーデナー

「園芸研究家」「ガーデンデザイナー」とか言われる人たちの経歴を見ると、大抵、イギリスで勉強したとか修行したとか書いてある。
最初は「イギリスかぁ、すごいなあ」と素直に感服していたのだが、園芸をすればするほど、その経歴に眩しさを感じなくなってしまった。
というのも、この国の気候と住宅事情を考えたら、イギリスなんかに行っても意味がないのは一目瞭然だからだ。修行をする場所としては、レベルが低すぎるのではないか。
昨日も書いたように、日本はガーデナーにとって「逆境大国」である。
庭は狭く、ギチギチに家を建てるので日当たりは悪く、おまけに周囲は「死のブロック塀」「死のトタン」「死のペパーミントグリーンのフェンス」に囲まれ、近隣住民の視線から地主の了解、賃貸住宅なら賃貸借契約の足かせもある。都会でも害虫は押し寄せてくるし(むしろ田舎より多いほど)、水はけの悪い土、生活感丸出しの物干し竿、九州や中国地方の人は黄砂にも悩まされ、関東平野ではキチガイじみた暴風が、そして全てを溶かす真夏の熱波、さらに大地震への恐怖!!!
・・・とおよそ心穏やかに園芸など楽しめる国ではないのだ。
だから、こんな国でホームガーデニングするというのは、ドラゴンボール的に言えば、何十倍もの重力空間で修行をするのと同じなのである。
イギリスは曇りの日が多いが、その代わり比較的冷涼で熱波も黄砂もスギ花粉も地震もない。「死のブロック塀」もなければ日本よりは庭も断然広く、欧米人は外で洗濯物を干さないので物干し竿もない。借家を自分なりにリフォームして住むのが当たり前だから堂々と庭にモルタルやコンクリも使えよう。
つまり「重力」がほとんどない。
ウィズリーガーデンで園芸の歴史やテクニックを学ぶのはけっこうだが、日本に帰ってきたらその「重さ」「やりにくさ」にヒーヒー言うに違いない。公園管理者やブルジョワジーのお抱え庭師になりたいのなら別だが、一般住宅の庭では素人の上級ガーデナーと同じ程度の仕事しか出来ないのではなかろうか。それこそ板塀で「臭いものにフタ」をするような力技で解決しそうである。
だから多くのプロ園芸家は結局、イギリスと気候の似た軽井沢だの那須だの清里だのといった、高原地帯や避暑地に逃げる。都市(住宅地)から離れ、まともなロケーションが期待できる里山に逃げる。
庶民の暮らす住宅地では彼らはクソの役にも立たない。
僕らのほうが「上」なのである。
結局、彼らは日本にイギリスを求め、適合する地にイギリスを再現してみたいだけなのである。それを日本では「プロのガーデニング」と呼ぶ。
雑誌に載せるには丁度いいかも知れないが、僕たちホームガーデナーにはあまり参考にならない。ひとつの理想として記憶するくらいである。
僕たちが知りたいのは「こんな庭でも生きてていいですか」なのである。
いや、マジで死にたくなるくらい自分の庭にウンザリすることがあるのだ。
いま、うちの庭、ゲジゲジがマジハンパないことになってて、大量発生なんてもんじゃない状況。雨が降るとそいつらが大挙して梅の木に登る。しかもナメクジと一緒に登る。気の弱い女性だったら「超キモイ!私引っ越す!」となるところだ。
しかしそれが日本の住宅の現実なのである。多分、引っ越したところで似たような「現実」にまた鳥肌を立てることになる。
それでも諦めずに庭造りを続ける僕らは、きっと自分では気付かぬうちに、とんでもない強さになっていると思う。

って話。

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2016.06.02 | | 園芸コラム

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Author:yuhei
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