僕の就職恐怖症

今日は新横浜で仕事。
途中、乗り換えの渋谷駅からスクランブル交差点を見ていた。


今日入学式だった学校が多かったらしく、正装した親子連れを何組も見た。
リクルートルーツに身を包んだ学生も多かった。
ホテルの前を通りかかったとき、前を歩いていた学生が急に立ち止まって中へと入っていった。見ると「株式会社○○会社説明会」とあった。
僕のようなロクデナシ人間でもかつて会社説明会というものに参加したことがある。
就職願望はほとんどなかったので、半ばアリバイ作りの就活であった。卒業後、根無し草になったとき、「就活したけど全部クソだったんだもん」と言えるように申し訳程度に「活動」しておく必要があった。
しかし少しは期待していた。
当時の僕は働いて金を稼ぐということを何か邪悪なことのように考える思想に侵されていて、サラリーマンになること=自分を殺すことだと思い込んでいた。
会社説明会に行って間近に現役の「働く大人たち」の姿を見れば、自分のこの<就職アレルギー>も少しは和らぐかもしれん。
あとはその会社次第だ。
この俺に「働きたい」と思わせられる会社があるかどうか。
思わせられたら大したもんだ。思わせて見やがれ。
そんな超尊大な上から目線でブースに座り、先輩社会人たちの話を聞いていた。
スノッブな外資系企業から富山の小さな製薬会社のブースまで色々行った。鼻持ちならない企業もあったが、ほとんどの会社がちゃんとしていた。
ケツの青い学生相手でも丁重に案内する。茶を出す。ねぎらう。お辞儀する。
会社説明会というのはこんなにエネルギーを使うものなのかと逆に気の毒になったくらいである。
働くというのは偉いことだと思った。大人の世界も悪くない。
僕の中の<就職恐怖症>はキャラメルのように少しずつ溶けていった。
しかし働きたいと思っただけで働けるなら世話はない。こちらが歩み寄ると遠ざかっていくのが人の世である。そして僕はというと自分の都合のいいように現実を折り曲げてポケットに収め、被害者ぶるのが得意な学生であった。
希望の会社はことごとく門を閉ざした。
アリバイ作りならそれでよかったはずなのに、自分が変わっていた。
夏だった。
東京中がクーラーの唸り声とセミのミンミン鳴く声で埋め尽くされている午後、僕はオフィス街のベンチに腰を下ろして、すべてが自分とは無縁だと思った。この馬鹿でかいビルに使われているタイル1枚分も、俺にはこことつながるよすがはない。
暑さと、目に刺さるようなひなたの眩しさが一層僕を侘しくさせた。
就活はそれで終いにした。

それからしばらく根無し草だった。本を読んだり何かを書いたりギターを弾いたりして過ごした。
そして紆余曲折あって今は自営業者のガーデナーになっている。人生わからない。
無縁だと思っていたオフィス街にも行くし、地方にも行く。
今は働くことを楽しんでいる。
それもこれも、あの時就職活動をしたお陰である。労働への嫌悪感が憧れへと変わり、せっかく変わったのに企業から弾かれて、呪って、腐った。
その苦い思いが僕の「かかと」に詰まっている。運動靴のエアーのように、飛ぶ力をくれている。

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2016.04.08 | | 未分類(日常、随筆)

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