これからの「家」と母の黒豆

千葉にある母の家の庭。
前はミョウガとかユキヤナギとか色々植わっていた気がするが、すっかり寂しくなった。中央のクリスマスローズは数年前僕と奥さんが半分自己満足で買って来て植えたもの。

ちなみにここは実家ではない。
僕が千葉を出てから兄と母が買って住んでいた家である。実家と呼べる家は僕にはもうない。物としては存在しているがもう他人の所有物になっている。
その家は母の家から数キロ行ったところにある。好奇心から帰りに前を通ってみたら、あろうことか庭を半分ほどぶった切ってカーポートなんかになっていやがった。短い通路と花壇は潰され、ポストとインターホンがあった壁もすっかり取り払われて、代わりに車が4台停まっていた。
僕の思い出の家を新たな住人がどうしようと勝手だが、よりによって庭を切るとは、オモシレエことしてくれるじゃないの。
ふと、先月会ったお客さんの話を思い出した。
造園業をされている会社さんで、いろいろ興味深い話を聞かせてもらった。
その会社さんは先代の頃から地元のお寺の依頼で境内の管理、特に墓地の造成、それから一般家庭の庭のエクステリア施工や剪定などをメインに行ってきたが、今では到底それだけではやっていけない、ということで造園とは何の関係もない業種にも乗り出さざるを得なくなっていた。
「昔はね、けっこうお墓にお金かける人、いっぱいいたんですよ。一つの工事で何百万とかね、ありましたよ。でもほら、亡くなったりして、代替わりして、若い息子さんとかが管理するようになるとね、ダメですね」
「ダメですか」
「若い人は、立派なお墓建てようなんて思わないじゃないですか。そんなことにお金かけないでしょう?」
「ええ、まあ」
「庭も同じですね。潰しちゃうんですよ、庭を。管理が大変だからって。お墓とか庭とかって、今の時代、無駄なものでしかないんですよね。なきゃないでいい、みたいな」
別にカーポートが必要な事情があるのにあえて庭のままにしろなんて思わない。そんなのは人の勝手である。だが、ハナから庭を除外しているようにしか思えない家が増えているのもまた事実である。
もちろん、上の業者さんの言うように、管理が出来ないからと親から相続した家の庭を潰してしまう人も増えている。それはそれで仕方ないが、ならば新築住宅の植栽で・・・と思っても新築にも庭らしい庭はなく、せいぜいシンボルツリーのオリーブ1本と玄関脇のステップに緑を少々・・・ってなもんだ。造園業者にとっては冬の時代だろう。公園や役場の植栽、街路樹の剪定といった公共の仕事もやらない限り、造園だけで食っていくのは至難の業だろう。
多分、誰だって本当は庭のある広い家に住みたいと思っている。若い人でも。だがそんなのは贅沢だと思って最初から諦めているか、経済的な理由で妥協せざるを得なくなっているのだ。そういうシステムになってしまっているのだ。
これを変えるのは容易ではない。というかほとんど不可能に近い。
でも所詮、家だって商品である。単純な需要と供給のルールから治外法権で守られているわけではなく、売れなきゃゴミになる。
庭もない、窓から手を伸ばせば隣の家に届くような、あんまり人を馬鹿にしたような狭小住宅は「作っても売れない」という流れにしていけば、少しはハウスメーカーも不動産業界も考えるかも知れない。可能性は薄いが。。。
何度も何度も繰り返して言うが、人口減少社会なのに40年前より家1軒に使う土地の面積が狭くなっている。1件建っていた家を解体してそこにギチギチハウスを2軒建てる時代になっている。それで格安ならまだいいが、別に安くもないときている。
意味不明だ。
人間が少なくなっているのなら1世帯が使える面積は増えてしかるべきなのに、逆に狭くなっているのだ。35人学級から30人学級になったのに、さらに前後左右の席との距離がきつくなっているようなものだ。

まあいい。新年からこんな話したってシラケるだけだ。
そんなことより母の黒豆。見たって。

自分史上最高の出来栄えだそうで・・・わざわざケータイで撮って保存したらしい。
「土井先生のレシピがたまたま新聞に載ってたのよー!それで一言一句違わず正確に作ったの。やっぱりプロは違うわねプロはっ!目からウロコだったわよ」
「土井って誰よ」
「えーーー!!!」と母ドン引き。
「知らないのー!?おっくれってるぅーーー!あんたどういう生活してんの」
「・・・・・・・」
確かにシワひとつない美しい出来栄えですヨ!(甘い黒豆を期待していたので俺はちょっと残念だったけどね!)

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2016.01.02 | | 園芸コラム

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Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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