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Author:yuhei
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
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日本のクリスマス

巷ではクリスマスムードが濃くなってきて、どこへ行っても何らかのクリスマスソングが流れている。
ポップス系のクリスマスソングで僕が一番好きなのは、バンドエイドの「Do they know its christmas」である。「飢えてるアフリカ人にハンバーガー食べさせて俺たちの植民地にしようぜ」という主旨の歌だが、その欺瞞に満ちたキリスト教至上主義的な歌詞さえ気にしなければ、曲としてはいい曲である。
そもそも、日本におけるクリスマスというのは、こういった押し付けがましいキリスト教至上主義の偽善性を無視し、単なる「行事」と割り切ることで成り立っているのであるから、いちいち腹を立てるのもヤボである。

といって、腹を立てない、ということとキリストの存在を認めるということは別問題である。僕は彼が生まれなければ世界はもっと平和で豊かで、文化遺産ももっと多く残っていただろうと思うので、クリスマスは祝わない。僕たち有色人種からしたらむしろ呪うべき日だろう。リースを作ったりケーキを食べたり、ローズマリーでツリーを作ったりするのは、単に家庭生活の中のささやかな「楽しみ」「行事」「イベント」としてやっているのである。それが<日本のクリスマス>であり、僕はそういう日本の合理主義は嫌いではない。

日本人でクリスマスが嫌いな人は、キリストがどうとかいうのでなく、恐らくあの浮ついた「空気」に我慢が出来ないのだと思う。特に日本産の「クリスマスソング」が大量生産された90年代前半以降、誰もが安っぽいトレンディドラマみたいな世界に憧れて「クリスマス用」の恋人を持ち、あたかも「聖夜=セックスする日」ででもあるかのように馬鹿騒ぎを繰り広げたので、その頃の記憶がある人ほどクリスマスに対する嫌悪感は強いだろう。(僕は小学生だったがそれでもかなりの違和感を感じていた)

もっとも、以前から日本のこのムードとしての「クリスマス」に違和感を感じる人はいた。作家の安岡章太郎がそうで、彼が昭和40年に発表した短編「ジングルベル」は、そんな日本の異様なクリスマスを若者の目を通して浮き彫りにしている。

 

多摩川園の駅前まで来て、僕は自分の肢が、機械のように動いているのに気が付いた。ラジオが「ジングルベル」をやっている。それに足をあわせていた。今日はクリスマスなのである。
歩調を合わせまいとしてもダメだ。足首をヒモでしばられて、それをひっぱられているみたいなのだ。・・・・「へいっち、にッ」と僕は高崎歩兵連隊初年兵の軍曹の掛け声を思い出した。リズムの切れめ切れめに、掛け声がかかる。
― ジングル(へいっち)ベール(にッ)、ジングル(へいっち)ベール(にッ)
僕はそのようにして、足元をジングルベルに取られながら、ふらふらと、立ち並んだほこりっぽい食い物店の一軒にはいっていった。そして椅子に腰を下すなり、「ウナドン」と、叫んだ。

 

「叫んだ」というのがいい。クリスマスの日に食い物店に入っていきなり「ウナドン」と叫びたくなるその気持ち。共感する人は多いだろう。特に現代は「恋愛受難時代」である。昨日、こんなデータが発表された。

18歳~34歳の未婚者の内、「異性の交際相手がいない」と答えた男性が61.4%、女性が49.5%と、いずれも過去最高となったことが、国立社会保障・人口問題研究所の調査で分かった。五年前に行った調査から男性で9.2ポイント、女性で4.8ポイント増加した。(MSNニュース)

何世代か前の人たちのような、享楽的なクリスマスを過ごす若者は今では少数派である。もしかしたら僕たちは「セックス」より、メシ屋行って「ウナドン」と叫びたい世代なのかもしれない。


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未分類(日常、随筆) | 23:57:17