「当たり前」ではない腐葉土・堆肥

某ホームセンターのトイレ脇の掲示板。腐葉土・堆肥等の安全性を訴える紙が貼られていた。

わざわざ足をとめて読む客はいない。
8月1日に政府が基準値を示し、いったんは店頭から姿を消した腐葉土や堆肥も秋までにはまた元通り販売されるようになり、園芸分野に関する限り放射能に対する不安は一時期に比べてだいぶ薄まった。今となっては、腐葉土や堆肥を買うのにいちいち産地を調べたり店員に質問したりする人は少数だろう。
これは検査に検査を重ね、袋に安全性を保障するラベルを貼ったり、店内放送や張り紙などで消費者の不安を取り除く手間を惜しまなかった製造業者やホームセンターの努力の賜物と言っていい。
でもこうやってまた普通に売られると、(僕も含めて)それが当たり前だと思ってしまう。原発事故によって、これまでの「当たり前」などいとも簡単に崩れてしまうことをあれほど味わったというのに。
まあ、必要以上に不安がって、「自分で作った堆肥じゃなきゃ怖い!」と目の色を変えて馬鹿でかいコンポスト(堆肥化容器)を買いに走ったりする人よりは、「当たり前」だと思うくらいが人間らしいのかもしれないが、この前も銚子付近を震源とする比較的大きい地震があり、ニュースキャスターが「茨城県の東海村原発は・・・」と口にした瞬間、ギクっとしてしまった。
僕は基本的には原発賛成派で、再稼働にも賛成なのだが、もし再稼働するのなら、(事故は)「ありえない」ではなく、「いつでも起こりえる」という認識でやってもらいたい。管理する側がそんな弱音を吐いては住民が不安に思うだろう、という理屈で今までは「ありえません」の一本槍でやってきてこのザマなのだ。「もしかすると明日爆発するかも」くらいの恐怖心を電力会社各社には共有して欲しい。
腐葉土だって、それが売られているのが「当たり前」ではもうなくなったのだから。



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2012.03.23 | | 放射能・汚染腐葉土

放射能汚染~何を信じるか~

ユリウス・カエサルは、「人は自分の見たい現実しか見ない」と言った。

世田谷の住宅から周辺よりも高い放射線が検出された問題で、今日、その原因がなんと民家の軒下に置かれた瓶であったことがわかった。瓶は原発とは無関係で、中に入れられたラジウムが原因だった。住民には覚えがないという。

安心して良いのか悪いのか分からないが、一つ言えるのは、誰もが気軽にガイガーカウンターを持てるようになった今、今後もこのような「嫌な発見」があちこちで相次ぐ可能性は高いということ。
個人で測定出来るようになったのは良いことだが、その分、いわれのない疑いを掛けられたりする人や場所も出てくるだろう。現に、福島から群馬に避難していた女性に対し周辺住民が自治体に懸念の声を寄せ、女性の車や自宅周辺を「検査」させた、という理解に苦しむニュースもあった。(本当に「周辺住民」による懸念だったのかは疑問だが)

ところで、この世田谷の事件を聞いて以前「週刊ポスト」(7月22日号)に載っていた「50年前の放射能地図」という記事を思い出した。文科省が半世紀以上にわたって調査・作成した「環境放射線データベース」をもとに、セシウム137のフォールアウト(核実験による死の灰)の量から、当時の環境で日本人がどれくらい被爆したか試算した記事だ。結果を見ると、178回もの核実験が行われた1962年の翌年の63年、東京の放射線量は年間1.69ミリシーベルト。大阪で1.19、福岡で1.61シーベルトで、秋田ではなんと3.36ミリシーベルトというとんでもない数字が算出されている。(もっとも、これは推計値であり、土壌や生活スタイルの違いで実際の被曝量は異なる)

現在、国は「年間1ミリシーベルト以上の地域は除染対象地域にする」と言っているので、50年前の日本がどれだけ核実験その他の影響によって「汚染」されていたかが分かる。しかも記事によると、
「核実験によるフォールアウトでは、プルトニウムやストロンチウムなど、現代の煽り派が「これが出たらお終いだ」と恐れる放射性物も普通に世界中にばらまかれた。日本人を含め、世界中の人々が毎日それを吸い込み、食材に取り込まれたものを食べていた」
というから滑稽な話だ。そしてこうも言う。

「マップから明らかなことは、70年代までに生まれた日本人のほぼ全員が、これまでの人生で現在の福島県民以上の被爆をしながら生きてきた」

 

 
この記事を信じるか信じないかは個人の自由である。冒頭にも書いたとおり、人間は見たい現実しか見ないので、自分の信じたいものを信じればいいと思う。

僕?僕は信じる。でなきゃ呑気に園芸なんてやってられない。僕は赤玉土も腐葉土も培養土も、市販されているものは基本的に安全だと思っている。もちろん、根拠なんてない。僕が安全だと思う(または思いたい)から安全なのである。そうでもして割り切らないと、何も出来やしないではないか。

横浜の小学校では、毎日一校ずつ給食に使用される食材全てを検査するそうだ。「なんでお前らが?」と僕などはつい思ってしまうのだが、汚染を疑う人々の懐疑心を晴らす「答え」を持った人間などどこにもいない。白い花は誰が見ても白い花だが、この問題は目で見てわかるものではないし、中には「いや、私には黒い花にしか見えない」と言う人もいる。そういう人を説得するのはほとんど不可能である。
だからこそカエサルは殺されたのである。


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2011.10.14 | | 放射能・汚染腐葉土

オリンピックの腐葉土

先日ちょうど腐葉土と赤玉が切れたので近所のオリンピックに買いに行ったら、腐葉土の袋にこんな表示が付いていた。


オリンピックの腐葉土が千葉県産であるというのは、僕は例の「汚染腐葉土問題」の時に店員さんから聞いて知っていたが、それでも買い控える客が多いということなのだろうか、ステッカーを付けて安全性を強調。腐葉土や培養土も食料品などと同じように生産者の「顔」が見えるようになってきた。怠惰な政府に比べて、民間企業はよく頑張っていると思う。
でも、いくらなんでも落ち葉の原産地
:外国 はどうかと。「地球」って言うようなもんじゃん。グローバルすぎ。

ま、花が咲けばそれでいっか。


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2011.10.08 | | 放射能・汚染腐葉土

導火線に火を付ける人たち

岩手県陸前高田の景勝地「高田松原」の松の木を京都「五山送り火」のひとつ「大文字」の護摩木として使う計画が一部の反対によって中止に追い込まれた。放射性物質が怖い、というのがその理由だ。松からセシウムは検出されていないが、京都市は不安視する市民の声を重んじて中止を発表。すると今度は「なぜ中止するんだ」「京都の印象が悪くなる」といった中止反対の電話が殺到し、市は陸前高田市に対し再度受け入れを表明。しかし届けられた松を再度検査してみると、松の皮の部分からセシウムが検出されてしまった。皮は燃やさないのだが、それでも「セシウム検出」という事実は中止反対を叫ぶ人々を黙らせるのに充分だったらしく、結局「大文字」での使用は見送られることになった。その後、千葉県の成田山新勝寺が松を受け入れることになったのだが、これにもまた「反対」の声が上がっているという。

京都市民は全国から「冷たい」「被災者の気持ちをないがしろにしている」などと批判を浴び、企画したボランティア団体は反原発派から「そんなに放射性物質を拡散させたいか!」と因縁を付けられ、挙げ句の果てには陸前高田市までが「押しつけ」「ゴリ押し」と、まるで廃棄に困ったゴミを他県に処分してもらおうとしているかのような非難を受ける・・・。さらに成田山新勝寺のある千葉県民に対しては「千葉はもう汚染されてるからいいじゃん」といった理解があるのか無いのか分からないような声まで聞こえてくる始末。

 

この騒動を見ていると、導火線に火のついた爆弾を慌てて投げ返すアニメのキャラクターが目に浮かぶのだが、導火線に火を付けたのは京都市長でも京都市民でもましてや東電でないのは明らかである。では誰が火を付けたのかといえば、こういうことに長けている人たちである。
ニュースにすることで大衆の関心を引き、ネガティヴな雰囲気を作り出すコツを心得ている人たち、である。それは、中止発表の翌日に常識的な京都市民から「なぜ中止するんだ」「中止を撤回しろ!」という電話が300件近く寄せられ、回線がパンク状態に陥ったという事実からも明らかである。不安視していたのがほんの一握りの人たちに過ぎなかったということだ。だからこそ市長は前言撤回し、再度受け入れを表明したのである。しかしその手の人たちは数は少なくても政治家への圧力のかけ方も長年の経験から心得ているので、市長の翻意を促すことくらいお手の物である。そして京都には特にこの手の人々が多い。

僕はいま「圧力」といったが、この手の人々はそれを圧力とは思っていない。むしろ彼らは、自分たちこそが「圧力」を受けていると思っている。どんな圧力かというと、「復興ファシズム」という名の圧力である。「被災地のことを考えたら放射線物質くらい我慢しろ」「被災地の人たちはもっと苦しんでるんだぞ」「関西人は汚染されてないから分からないんだ」―・・・
こういった「正論」で押し切ろうとする勢力を「復興」を名目に協力を強制する一種のファシズムだとし、反発する。そして日本人のいわゆる「惻隠の情」までをも否定し、情や善意につけ込んで他県に汚物をばらまこうとする被災地の野望を打ち砕かんとやっきになっているのである。多分、こういう人たちが内閣支持率13パーセントの正体なのだろう。


確かに「かわいそうだから」とがんがん汚染物質を受け入れられたらたまったものではないが、このような非常時にはある程度痛みを共有するのも同じ国に住む人間として当然だと僕は思う。ましてやたかだか500本の、しかも「汚染」と呼べるほど汚染されてもいない薪を燃やすだけの話である。「悪い前例」になるという意見があるが、そういうのを「げすの勘ぐり」というのである。東北の人たちを一体何だと思っているのか。

他県の人間から見ると今回の京都市の対応は冷酷に映るかも知れないが、恐らく、大半の京都市民にとっても不本意な結果だったろう。訳の分からない政治力によって、せっかくのセレモニーを台無しにされたと思っている人も少なからずいるはずだ。
本当に冷酷なのは誰か、そして本当に「情」に流されやすいのは誰か、よく分かる出来事だった。


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2011.08.17 | | 放射能・汚染腐葉土

アイリスオーヤマ 「ゴールデン粒状培養土」は安全か

汚染腐葉土の問題は基準値が発表されたことでなんとなく沈静化してしまったが、堆肥や腐葉土の他にも園芸愛好家たちの間で不安視されているものがまだある。

アイリスオーヤマの「ゴールデン粒状培養土」だ。

そもそもなぜこれが不安視されているか。順を追って説明すると、まず、汚染腐葉土が市販されている事実を明らかにした動画の中で、この「ゴールデン~」からも0.87msv/hの線量が計測されていたからである。6月の下旬にアップロードされたこの動画はぐんぐん再生数を伸ばし、二週間後には7万を超える再生数となった。
その後7月25日に「週刊現代」が(恐らくこの動画を見た)読者からの情報提供という形で関西地方にも汚染腐葉土が市販されている実態を記事にし、翌日にはテレビのニュースでも取上げられ、「汚染腐葉土」は瞬く間に世間に知れ渡った。
しかし実際に基準値を超えて市販されていたのが腐葉土や堆肥であったため「ゴールデン~」は全く問題にされず、ただのネット上の「噂」以上のものにはならずに今に至っている。
基準値を超えていないとはいえ、不安に思う消費者が存在するのならその不安を払拭するのも企業の仕事の一つだと僕は言い続けてきたが、販売元のアイリスオーヤマからはいつまで経っても「安全」を担保するような情報は発表されない・・・。

 

だから直接訊いてみた。問い合わせメールフォームから送信。
(※回答内容は「無断での転載・二次利用禁止」ということだったので、ブログに書く旨を担当者に伝えた)


(8月6日・1通目)

・汚染腐葉土の問題が取り沙汰されているが、「ゴールデン粒状培養土」は安全か。また、「ゴールデン~」の放射線測定値などがあれば教えてもらいたい。

 

・「ゴールデン粒状培養土」シリーズは全て中国の工場で生産しているので東日本大震災に起因する放射能の影響は受けておりません。(測定値に関しては無回答)


(8月8日・2通目)

・この手の質問はかなり多く寄せられていると思うが、貴社のHP等を見ても「ゴールデン~」の放射能汚染に関する情報は見当たらない。不安に思っている人が相当数存在しているのに、わざわざ消費者の側から問い合わせをしなければ分からないというのは不親切ではないか。本当に安全ならば、せめて「ガーデニングドットコム」(注:アイリスオーヤマの園芸専門サイト)にはこのメールで回答している程度の情報は掲載すべきでは? 

 

・現在、農水省からの詳しい検査方法等の指示を待っている状態。昨日、ようやく牛ふん等一部肥料に対する検査方法の指示があったので対象商品についてはこれから検査する。弊社の用土・肥料の何アイテムかは既に外部機関で検査をしていて問題ないとの結果が出ている。今後、確認のとれたものからホームページに掲載していくことを前向きに検討していく。

 

すると、アイリスのホームページおよび「ゴールデン~」の購入ページにはこんな説明が・・・↓

【生産拠点について】
ゴールデン粒状培養土はすべて弊社の大連工場(中国)で生産しております。中国産の原材料【粒状土(草灰)、バーミキュライト、パーライト、元肥】のみを使用し、配合、加工、包装もすべて一貫して大連工場内でおこなっております。

【安全性に関する見解】
弊社の大連工場は東電福島第一原発から約1600㎞離れた位置にあります。また、中国大陸における放射性物質による汚染の報告はなく、原発事故によって飛散した放射性物質が製品中に混入している可能性は極めて低いと考えております。

意見を聞き入れてくれたのは有り難いが、ホームページをよく見ると、この情報を公開した日は7月9日となっている。7月の時点でこんな説明があったか記憶が定かではないのだが、もしそれが本当だとしたら僕の意見を「前向きに検討する」といった担当者の言葉は何だったのか・・・。既にこのような情報を公開していたのであればどうして「いや、もう載せてありますよ」と言ってくれなかったのだろうか。このようなことを考慮すると、やはりこれは7月ではなく8月の誤りであろう。
※この記事をアップしたあとアイリス側は8月に訂正した。

ゴールデン粒状培養土と中国

それにしても中国産とは意外だ。「ゴールデン~」より遥かに安い培養土でも国産のことが多いので、「最高級培養土」、「土の王様」と名乗るくらいだからてっきり純国産と思い込んでいた。ならもっと安くしろよと言いたいが、多分、原料の中に中国でしか取れない何かが入っているんだろう。
また、中国国内における汚染の可能性に言及している点だが、福島原発の影響による汚染がないのは分かるが、「中国大陸における放射性物質による汚染の報告はなく」と言われても説得力はゼロだろう。なにせ人命より運転再開を優先して事故車両を埋めてしまう国である。「報告がない」ことそれ自体が危ないと思うのは心配のし過ぎだろうか。
今現在中国では14カ所で原発が稼働している。もちろん原発関連施設もある。しかしそれらは国家機密となっており、たとえ事故やトラブルがあっても国民に報されることはない。中国は自然災害による死者数でさえ05年まで国家機密にしていたほどだから、放射能汚染状況などもってのほかだろう。いつどこでこっそり「ベント」が行われているか分かりゃしない。日本でさえこと原発となると情報がシャットアウトされ国民が見殺しにされるのだから、中国の原子力管理体制がどうなっているか・・・推して知るべしだろう。実際、昨年、中国の大亜湾原発で放射性物質が漏れる事故が起きているが、政府はメディアが騒ぐまで隠していたとも聞く。
もっと言えば核実験がある。中国は1964年から1996年までの約30年の間に計45回の核実験を行っているが、そのうち80年代までの核実験は地下ではなく地上核実験である。もっとも、実験に使われたのは新疆(しんきょう)ウイグル自治区(東トルキスタン)であり、この地域は面積の4分の1が砂漠なので園芸とは無縁だろう。だが放射性物質が偏西風に乗って東へ飛散し、土壌に蓄積されていた可能性も考えられないではない。
「ゴールデン~」が中国の工場で生産されているのなら、恐らく原料には中国国内で採取された土やピートモスなども含まれているはずだ。問題の発端となった動画の中で「ゴールデン~」からは0.87msv/hの線量が計測されているが、もしこれが線量計の故障でないとするならば、中国国内で採取した原料が既に汚染されていたか、なんらかの理由で袋が汚染されたと考えるほうが自然だろう。つまり、3月11日の原発事故以前に計っても、この数字が出た可能性がある。


中国は2020年までに新たに28カ所で原発を運転させる気でいる。そして2050年までにはなんと230基へ増やす計画もあるという・・・。

アイリスオーヤマは大連に工場を持っているそうだが、大連のある遼寧省(りょうねいしょう)ではいま、紅沿河原発なる大型原発が建設中であり、2014年に運転開始を予定している。
だから何だ?と言われればそれまでだが、僕はただ、野菜などでは「中国産」というのはネガティヴな情報であるのに、放射能汚染に限っては福島から1600キロ離れているというだけの理由で、「安全です」と言えてしまうオカシサを指摘したいだけである。

福島産でも栃木産でも安全なものは安全である。どこぞのテレビ局の「せしうむさん」ではないが、東日本産はやばい、東北産は危険、だから福島原発から遠く離れた中国など外国産のものを選ぼう、というのは気持ちは分かるが少々安直である。中国にも原発はある。それを頭の片隅に置いておくべきだろう。


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2011.08.12 | | 放射能・汚染腐葉土

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プロフィール

祐平

Author:祐平
築30年の借家でホームオフィスをしながら理想の庭づくり、理想のインテリアを探求する日々の記録。
「一般教養としてのロック史」管理人。興味のある方は覗いてみてください。ネットショップも地味に
コメ欄クローズ中ですので、現在お声はメールでお願いしております。
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